D181 6月定例会、始まる! 野村克也賞、批判的質疑多数で継続審査!! 23/6/16(金)
降ったりやんだりの梅雨の中、6/9(金)に6月定例会が始まりました。公私ともにいろいろとあって報告が遅れましたが、その報告をしておきます。
本会議初日の議案は33議案でしたが、その内永井がこれはと思ったものは以下の通り。
① 議案47号、国保税の条例改正。
② 議案48号、R4年度一般会計補正予算14号。
③ 議案55号、R5年度一般会計補正2号。
④ 議案58号、職員の特殊勤務手当条例の改正(コロナ手当の廃止)。
⑥ 議案60号、森林環境税に関わる税条例改正。
⑦ 議案61号、吉野小学校の再配置条例。
⑧ 議案64号、R5年度一般会計補正3号。
それぞれについて、簡単に(?)解説します。おそらく長くなると思いますので、興味のあるところだけでも読んでいただけたらありがたいです。
①国保税条例改正
これは生活困窮世帯の増加に鑑み、高所得層の国保税を増やし、低所得層のそれを減らすという趣旨の国の法律改正に伴って市の条例改正を行うものです。具体的には国保税の課税限度額を102万円から2万円増額して104万円とし、逆に減額の対象基準を引き上げる(5割減額を5000円、2割減額を1万5000円引き上げ)、というもの。これで66世帯より147万円の増、72世帯より178万円の減ということになるそうです。永井は102万円以上の国保税を納めておられる方々がそれなりにおられるということを始めて知りました。
②R4一般会計補正14号
この補正はR4会計の最終まとめの基本に当たるもので、総額8億1674万円のマイナス(数字の頭に△が付いています)というものです。素人には補正というと増えるばっかりというイメージがあるのですが、△の付く減額予算というのもあるのです。特にこの補正は△のオンパレードです。
大きな理解としては、歳出予算として組んだけれども1年やってきて使わなかったもの、使う必要がなかったもの(未執行予算といいます)がいろいろとあるのでそれを減らし、その分を歳入の方を減らして調整するというもののようです。
歳入の特徴的なものは、国からの地方交付税特別分が約4億6000万円の増、市税が約6000万円の増、国からの法人税、消費税交付金が約4500万円の増、コロナ関係の国庫支出金が約1億7000万円の減、各種基金からの繰入金を約8億4000万円減、市債の発行も約3億4000万円の減などというものです。コロナ禍で厳しいと言われる中、市税が増え(特に固定資産税)、国からの法人税や消費税も増えている。やはり儲ける人達は儲けているんだということかなと思います。
支出の方では、人件費が約2億8000万円の減、生活保護など福祉関係の扶助費が約2億5000万円の減、様々な補助費が約5億6000万円の減、単独事業の未執行が約3億3000万円、その一方で各種積立金が約5億5000万円。
これによってR4年度最終には基金の残額がR3末より約1億5000万円増えて、約100億円になる一方で、借金である市債の残高はR3末より約14億4000万円減って約352億5000万円になるだいたいの見通しとなるということです。
数字だけ見れば総額約390億円の予算を使って、貯金が増え借金が減るということで、いいじゃないかということにもなりますが、ある議員が質問の中で「本当に必要な所にお金が回ってこの結果ということなのか?」と言われたのが一番のポイントであると永井も思いました。市長はこれに対して、「国からの過去最高額の特別地方交付税があったこともあり、必要な所にはしっかり回しての結果だ」という趣旨のことを返答されました。永井は個々の事業の細かい分析までできないので、市長の言葉に具体的な反論をできませんが、人件費の減や、扶助費の減、単独事業の減の中にそういうもの(必要だけど足らない分野)があるのではないかという思いも持ちました。
③R5一般会計補正2号
これは昨今の物価高騰対策としての低所得者の子育て世帯支援事業です。全額国の補助金で6391万円が組まれています。具体的には対象児童1人当たり5万円で合計1230人が対象予定とされています。内訳は1人親世帯関係が640人、それ以外の世帯関係が590人。京丹後市の児童(小学生)の数は今年度当初で2365人、何とその半分以上(52%)が厳しい状況にあるということです。
④職員の特殊勤務手当支給条例の改正。
これは要するに国の施策である新型コロナの5類移行に伴って、医療従事者のそのコロナへの特別の対応について支給されていたものが廃止されるという条例の改正です。国が補助をやめるのでそれに合わせて市もやめるということです。
「5類への移行に伴って実際の仕事は減るのか?」という質問に対して、「いえ、コロナの陽性者は現在もおられ同様の仕事は続いています」という答弁がありました。またR4の支給実績は医療関係で約2140万円ということです。
永井は、「仕事は続いているのに手当がなくなる。これは労働強化だけが残るということではないか、妥当とは思えない」として、この条例改正には反対しました(反対はおそらく4名)。※賛成多数で承認。
⑤職員の働き方改革条例の制定。
この条例はその名のごとく現在国を挙げて働き方改革が叫ばれる中で、本市も職員の任命権者の基本的な規範を定めて、職員のウェルビーイングの向上を図り、行政運営の効果的かつ効率的な遂行をめざすというものです。
いわゆる理念条例ということで具体的に時間外勤務の削減とか業務のスクラップとかいう具体的な事が条例に記されているものではありません。「ウェルビーイング」とは要するに持続的な幸福というような意味らしいですが、それが実現するならそれに越したことはないし、真っ向から反対だという性格のものではないと永井も思いますが、いろいろと思うことはあります。
議員の皆さんも同様であったようで、多くの方から沢山の質疑が出されました。
・従来からの課題である膨大な時間外勤務、業務のスクラップが全然進んでいないのにこのような言葉だけの条例を作る意味があるのか?
・この条例で職場が変わるのか? 今作る意味は何なのか?
・多様な働き方の追求とか人事交流とかあるが、逆に労働強化になるのではないか? など
市長や執行部の答弁は、これは今世界、日本全体の流れである。時間外勤務問題やスクラップ問題など従来から言われていることはあまり改善されてはいないが、これを機に同時にやっていきたい。昨年来、職員から多くの意見を聞いてプロジェクトチームでそれをまとめた具体的な取組方針も示している(「Here We Go!」というビジュアル満載の資料が出されています)、というようなものでした。
聞くところでは年間14万時間というような時間外勤務や特定の職種での激務(事務職、医療職、保育職は特に顕著)からの人員要求はほとんど実現せず、業務のスクラップも進んでいないとのこと。現在ウェルビーイングとはとても言えず課題解決への積極的な取組もない状況の中で、言葉だけの条例の意味があるのかと思うのが永井の正直なところです。 この議案は総務委員会へ付託となりました。
⑥森林環境税に関わる税条例改正。
これは、R6年度より国税として新しく森林環境税が国民1人当たり年額1000円課されるということでそのための市の税条例の改正です。京丹後市5万人として年額5000万円が徴収されます。
増税になるのかという点については、現在全市民に課されている府民税の均等割1500円と豊かな森を育てる府民税600円、市民税の均等割3500円、合計5600円の内、震災復興財源に充てられている府民税の500円と市民税の500円がR6年より廃止となるのでその1000円分と相殺されて5600円は変化なしということです。
この森林環境税が森林環境譲与税として市へCO2削減対策の森林整備の財源として入ってくる(譲与される)という仕組みになっています。京丹後市に入ってくるのは年額約3600万円ということ。既にこの額がR1より前倒しで(特別の財源から)入ってきて豊かな森府民税とともに森林環境整備関係に使われています。
どういう計算かは分かりませんが、5000万円取られて3600万円が返ってくる(しか返ってこない)。整備すべき森林はそれこそ山のようにあるのにと思ったりします。永井はそのあたりの質問をいくつかしました。この分野とても興味を持っています。
⑦吉野小学校の再配置条例。
一昨年提案されて、大きな議論になり永井も所属する文教厚生委員会を中心に大反対の論陣を張った(結果は賛成多数で可決)市内の小学校の再配置計画に基づいて出された条例です。吉野小学校の再配置について、保護者、地域の理解も深まり、協議会の準備も整ったのでR6年4/1より弥栄小学校へ再配置するという内容です。
保護者、地域の理解については保護者の70%が賛成、区長会での異論は特になし、住民説明会でも特に反対なしということで、地域の理解は深まってと判断し、準備協議会を作って進めてきたという市教委の説明でした。決定から再配置までの期間は従来の再配置校の多くと変わらないということです(最短3ヶ月、最長18ヶ月)。
この議案は委員会付託を省略してこの本会議で決めてしまう(表決といいます)という議会運営委員の確認でしたが、今後の再配置にもかかわる重要な案件なので委員会付託をしてしっかり審査すべきだという異議が鳴海議員より出され、その件がまず問われました。これに対し、永井は議運で委員会省略を是としたものですが、鳴海議員の意見に理があるとしてこの件での採決で浜岡議員とともに異議に賛成しました。結果は賛成少数(3人)で異議は否決。
改めて議案そのものの意見交換、討論を経て採決となりました。永井は、学校再配置計画そのものに強く反対してきたものですが、保護者や地域がそれを求めるのなら尊重されるべきだとも述べてきました。反対討論で平林議員が再配置計画そのものの問題点を指摘されたのを聞き、自分自身に矛盾を含んだものがあるのを認めた上で小さな学校こそこれからの地域づくりに大切であるとの思いを新たにし、反対をしました。反対は共産党の3名と創明の2名の5名であったと思います。
因みに吉野小学校より小規模な宇川小学校(永井の住む地域の小学校)は、保護者地域共に存続を求める声が強く、再配置の話は何も進んでいません。
⑧R5年度一般会計補正3号。
物価高騰対策への低所得者支援など緊急性を有するいくつかの事業のための補正で総額2億6752万円。メインの「住民税非課税世帯臨時特別給付金事業」は、1世帯あたり3万円を支給するというもので、総額約2億2000万円となります。対象は住民税非課税世帯7223と家計急変世帯100ということです。京丹後市の総世帯数は約2万3000、なんとその32%にもなります。
先に紹介した補正2号では52%の小学生が厳しい経済状況にあるという実態がありましたが、この事業の32%の非課税世帯という実態も含め極めて深刻な状況があることが示されていると永井には思われます。
その一方で最初に紹介したR4の補正14号では市民税の収入が増加しています(R4年度1年で当初予算より約1億4500万円の増)。これは特に固定資産税の増が中心となっています。これは新築の不動産が相当数あるということでしょう。
これはどういうことなのか。いわゆる「格差の拡大」の深化ということではないのか。
補正3号は他にいさなご小学校の通級教室整備、吉野小学校へのスクールバス購入なども含め、全員賛成で承認されました。
⑨R5年度一般会計補正4号。
この補正4号は総額5億6295万円で、事業36件(うち1000万円以上が10件)という大きな補正であり、予算決算常任委員会に付託をされて、本会議終了後午後6時頃より審査となりました。
当初の予定では委員会表決までということでしたが、デジタルポイント関係と野村克也賞の2つの事業に質疑が集中して全く時間が足りなくなり、午後8時前に中断し継続審査となりました。
デジタルポイント関係の事業とは、「地域消費喚起事業」というのが正式名称で、要するに昨年市が全世帯に発行したデジタルポイントカードに新たに市民1人当たり1000ポイント(1000円分)を付与して市内の消費喚起と経済の域内循環を図ろうという事業を中心に今後このデジポ制度の拡大を図るための検討なども含めて総額5250万円の事業です。ポイント部分は5万人に1000円ずつで5000万円です。
京丹後市デジタルポイントカードは昨年10月に各世帯1枚が配布され、その際に1人当たり500ポイントが付与されたところから始まっています。カードだけでなくスマホのアプリでも使えます。市内の加盟店で買い物をすればポイントが付き、ポイント1点を1円として加盟店で使用できるというものです。12月には1人1000ポイントが追加されました。ところが加盟店が少なく現在140店ほど。久美浜町や弥栄町などは特に少なく使いたくても使えないという声が多く、全市的にカードそのものをよく分からんと手にしていない高齢者も多い(紛失も相当数か・・)という事で使用率は60%程度となっています。
カード以前は紙のクーポン券を配布していてその時の使用率は96%ということでした。ただ紙のクーポン券配布は書留の郵送で送るしかなくそれだけで1000万円以上の費用がかかっていました。カードは一度配布すればそういう費用はかからないというのも大きな魅力です。この6/1からプレミア付き(1万までポイント10%プラス)の現金チャージも可能になりました。
質疑の中心は、使うところもなく、使用率も60%という現下の状況でさらに予算を突っ込むことはどうなのか、加盟店を増やす具体策はあるのか、立ち止まって考えるべきではないかというような点でした。執行部の回答は、使用率60%とは言え約1億円を使っていただき、3億円以上が循環した。スマホへのダウンロードも3000人以上。残りの40%にどう拡大するのか、行政サービスとのリンクも含めあり方検討会で協議しながら定着を図っていきたいということでした。
永井は行きつけの書店と文具店が加盟店で、このカードを重宝させていただき、先日チャージもして利用拡大をと思っていますが、妻などは普段の買い物で大きな所ではまず使えないので全く不便と言います。地元の商店で普通に使えて、店も使用者も何かしらお得感があり役場関係もOKというようなカードにならないものかと思うものです。
さてもう一つの野村克也賞の件です(「野村克也メモリアルプロジェクト推進事業」と言います)。丹後の生んだスポーツ界の巨人野村克也氏の名を冠した賞を創設し、故人の威徳を顕彰し、彼の遺志を継ぐような有名人を選びその活躍を称え、同時に京丹後を全国にアピールしようというのがこの賞の趣旨のようです。予算は500万円、財源は市の単費です。
まず今年選考委員会を作って創設記念として当該の人物1名を選び、賞金100万円を贈って全国にアピールし市内でその方の講演会をやって盛り上げよう。次年度からも選考し受賞を続けていこうということのようです。受賞者についてはスポーツ界を中心に特に制限を設けずに選考委員会で選んでいただいた方にということで、京丹後市関係者に限らないという感じです。
質疑は、どういう経過で生まれた事業か? 想定する受賞者はどういう人か? 単費でやる意味は? 対象も定かでないのに予算をつけるのか? ただ京丹後市が目立つためにその方を利用しようというものではないか? など複数の議員から重ねての質問が続きました。市長は野村克也PJ推進委員会からの提案であり、受賞者は8名の選考委員に幅広い中から選んでもらう、このことで全国に市の認知度を高めお客さんを増やしたいなどと答弁されました。
永井も聞きたいことがありましたが、午後8時が迫って中断となったため質疑はできず。他にも何人もそういう方がおられました。やりとりの中で、選考委員の8人はどうやら市外の方で、その方達になるべく有名な人を選んでもらって、決定したら東京で記者会見し、市内で講演会をやってもらうというような構想のようだということが見えてきました。なるべく有名な人と野村さんや丹後をどう関連付けるのか分かりませんが、元々選手としては活躍はしても「日陰の花」と自称しておられた野村さん、どんな方が野村さんの賞にふさわしいのか、難題だなと正直思います。あまり有名な人だと100万円の賞金では失礼ではないかという気もしないではありません。
兵庫県の豊岡市がかつての日高町から引き継いでやっている植村直己賞は、若い冒険家を育てるためにその分野に特化した人を全国から選んで賞金100万円を贈り、その方を招いてイベントをやるというもので、それなりに説得力のある賞だなと思います。それに対し、この野村賞は野村さんにかこつけて有名人を捕まえ京丹後をとにかくアピールしようということが見え見えで、京丹後のアピールとは即ち現市長のアピールということで、来年の選挙に向けての戦略の一環かなどとつい穿った見方をしたくなります。
とにかく、この件の質疑継続から次回の委員会が始まるということです(おそらく一般質問の後、6/23か・・)。永井は、この補正4号の中で最大の「脱炭素社会推進事業」2億171万円に大きな関心があり、質問をいろいろ準備していたのですがそれも先延ばしとなりました。
この日は、午後8時前にこの予算委員会が中断された後、各常任委員会での今後の予定確認。さらに広報委員会の初会合で原稿の分担などを決め、市庁舎を後にしたのは午後9時頃となりました。
以上6/9(金)6月定例会初日の報告です。久しぶりに長い(永井)ものになってしまいました。こうやって書いてみてようやく分かることがたくさんあります。
23/6/16(金)夜