D183 6月定例会、終了。 野村克也賞、全額削除!! 働き方改革条例、否決! 防災倉庫、一転して入札譲渡へ! 23/7/6(木)
6/22(木)に13回目の一般質問を終わりました。その報告をまだできないまま、昨日7/5(水)に6月定例会は最終日となり全ての日程を終えました。
報告すべきことが山のようにありますが、そのことが逆に報告が遅れるということの背景となって非力を嘆いております。
一般質問のやりとり報告は近日中にということにして、まずは議会終盤に大きな話題となった6/28(水)の野村克也賞事業を含む補正4号の報告と、昨日最終日の働き方改革条例についての報告です。この2件は、どちらも執行部提案を議会が拒否するという結果となりました。
まず補正4号(議案65号)です。この議案は総額約5億6000万円、事業数30数件という大きな補正予算です。その中で一番質疑の集中したのが「野村克也メモリアルプロジェクト推進事業」です。この事業だけで予算決算委員会の質疑は4時間以上となりました。
丹後の生んだ偉人野村克也氏(京丹後市網野町出身、峰山高校卒業、2020年2月死去)の名を冠した賞を作り、それを適切な方に贈ることで、野村氏の偉業を顕彰しその功績や言葉を後世に伝え、合わせて京丹後市の存在を全国に発信していこうというのがこの事業の内容です。500万円の単費事業(全額市の予算)となっています。
野村氏の偉業を称えるのにどの議員も異論はないということですが、執行部の提案に対し様々な問題点が指摘され、要するに検討と熟度の足りない事業提案であるとして最終的に賛成2対反対17で、この事業の500万円全額を0にしてその分は予備費に回すという修正となりました。
永井は、この提案の特に「今年度中に全国規模の有名人に賞を贈って京丹後市を売ろう」という部分に当初から疑問を持っていたものですが、疑問点、問題点は多岐に渡って多くの議員の指摘を受け、執行部の説明の曖昧さも加わっていわゆる「差し戻し」となったものです。この事業については予算決算常任委員会からの付帯意見が付けられることになりましたが、委員会での付帯意見の提案はいろいろと調整があって永井がすることとなりました。初めてのことでとても緊張しました。
以下がその野村克也賞事業への付帯意見です。
名誉市民である故野村克也氏の優れた功績や思いをさらに顕彰するため、「野村克也賞」を創設することを議会として否定するものではない。
しかし、今回の事業案は、年度内の賞創設を急ぐあまり、組織も選考基準や表彰規定も不明確なままの提案となっており、検討も熟度も不充分なままと言わざるを得ない。
名誉市民の名を冠する賞にふさわしく、また市民に理解され、共感される制度となるよう、野村克也メモリアルプロジェクト委員会等での再検討を経た上で、改めて提案すべきである。
補正4号で次に多くの質疑があったのが、「地域消費喚起事業」です。これは要するに昨年度市が全世帯に発行したデジタルポイントカードシステムの利用促進を拡大して市民の消費喚起と生活支援を図ろうという事業で、国の補助金3000万円も利用して総額約5250万円で提案されたものです。
指摘された課題は大きく2点。
①昨年発行されたカードの使用率は約60%。カードには1人1500円分のポイントが付与されていたけど高齢者を中心に4割が使われなかった。
②そのカードを使える地元の店が全市で約140店舗ととにかく少ない。
これらの指摘に対して執行部からは、カード普及のための取組や加盟店舗拡大への検討、今後のカードを使ったサービスの拡大などを積極的に進めたいという回答がありましたが、それは容易ではないという厳しい声も多くありました。
永井はこのカードシステムはこれからの市と市民にとって非常に有益なものであると思い、何とか課題を少しずつでもクリアーしながら育てていってほしいというのが基本的な認識であります(因みに、国が現在強引に進めるマイナカードは国家による国民管理の面が露骨でよくないと思っています)。
この事業についても予算決算常任委員会より付帯意見がつけられました。この提案も野村賞のそれといっしょに永井が行いました。
3点目です。「脱炭素社会推進事業」約2億円という案件です。この件は補正4号5億6000万の36%を占める最大事業ですが、質疑は永井のみがしつこく聞くということになりました。2030年にゼロカーボンの半分へという目標を掲げる本市がこの事業で本格的な取組に乗り出そうということで、その内容や方法や市の姿勢などをあれこれ問いました。永井は、ゼロカーボン政策は環境に無理なく市民全体の取組の中で進めていくことが肝要だと考えています。これからもずっと注視していきます。
以上6/28の補正4号にかかわっての報告です。補正4号は前記のように、野村賞の分500万円を予備費に回すという修正で賛成多数により可決されました。
次に昨7/5(水)の最終日の報告です。報告したいことは2点あります。
まず1点目、議案59号「京丹後市職員の働き方改革推進に関する条例の制定」について。
この条例は今国を挙げて進められている「働き方改革の推進」を本市でも進めるために任命権者の責務を定め、職員の「ウェルビーイング」(持続的な幸福というような意味らしい)の向上を図り、行政運営の効率化を目指そうといういわゆる理念条例(努力目標・・?)です。制定されれば全国の自治体で初ということでした。
この議案は総務常任委員会に付託されて、執行部の説明に職員組会(2組織)の参考人聴取などを経て審査の結果、委員会としては否決(1対5)となったものです。その理由を極めて大雑把にまとめると、働き方改革の推進は当然必要だが、従来からの大きな課題である職員の人員不足から来る膨大な時間外勤務(年間総計10万時間以上)や業務のスクラップが進まないことなどを放っておいてウェルビーイングと言ってもどうなのか? このような条例を作る前にやるべきこと、やれることがあるのでは? ということです。
昨日の本会議ではその総務委員会の否決報告がなされたあと、意見交換、討論、採決が行われ、原案賛成は2名(だったと思います)ということで賛成少数により否決となりました。
永井は、この議案について、市長の従来からの課題に向き合う姿勢があまりにも弱い中で、言葉だけそれらしいものを並べても意味があるのかと感じていました。膨大な時間外勤務、進まない業務のスクラップ、その上に毎年どんどん出てくる新規事業。職員組合から毎年出されている要望にはほとんど応えていただいていないとのこと。
最新のテクノロジーを駆使して業務の能率化を図っていきたいとのことで、その具体例もあれこれと既に明らかにされています(市のHP掲載の「Here We Go!」という業務改善・働き方改革取組方針)が、そこにも前提となる現況の課題の根本原因が示されていません。これではウェルビーイングは遠いと思わざるを得ず、その旨を意見交換で述べました。
このような理念的な条例案が否決されたのは市になって今回が初めてではないかと聞きましたが、現在の京丹後市議会のある意味での健全さを示したのではないか、と永井は勝手に思っております。
もう1点です。議案73号「財産の譲渡について〈防災倉庫〉」について。
昨日本会議開催前に急遽議会運営委員会が開かれて、執行部より緊急の追加議案として報告をされ、本会議で提案されたものです。
「防災倉庫」とは峰山の市本庁舎前の駐車場の西側に立っている鉄骨1階建ての大きな建物です。現在市の公用車や防災関係の車両などが置かれている柱のない強固な建物ですが、増築棟の建設予定地となって今年中には解体撤去(予算は6900万円)の予定となっているものです。
この建物は旧峰山町時代の2001年に建てられたものでまだ20年少ししか立っておらず、利用価値の極めて高いものでいかにももったいない、解体撤去ということでなく民間も含め何とか再利用できないか、ということを永井は庁舎整備特別委員会で執行部に問うてきましたが、移設には多額の費用がかかりそのようなことは現実的でない(入札にかけても応募者などいない)と相手にされず。3月の代表質問で取り上げた際には、「解体費用の削減、廃棄物の原料、再利用の促進と実現すればいいことづくめではないか」としつこく詰め寄りましたが、執行部の答弁は「R6年増築棟工事着工に間に合わないのでそういうことは考えない」という取り付く島のないものでありました。
当然ながら質疑で「できない、する気もないと言っていたのができるようなったのはどういう事情か?」と聞きました。答弁は「その後いろいろ検討して解体条件付き譲渡が可能ということが分かったので、一般競争入札にかけて応募者があれば譲渡したい、ということになった」という回答。なぜできない、しないと言っていたものができる、するとなったのかの直接の答弁はなしということでした。
何とも馬鹿にされた答弁だと思いながら、具体的な入札について例えば解体補助金のようなものは考えないのか(代表質問でも提案した内容)と確認しましたが、そういうことは考えない。応募者がなければ6900万円で解体撤去するとのこと。更に譲渡は有償が条件であるということも確認しました。
結果としてこの防災倉庫譲渡の議案は全員賛成で可決されました。永井は(執行部に対して腹立たしい)いろんな思いはあるが、自分が強く求めてきたことに実現に可能性が出てきたことを是とする、執行部は今回の件を今後の事業に十分に生かしていくように、という賛成討論を行いました。
思うに、永井がしつこく質問をした後に、おそらく市内の事業者等から市へこの件での打診があって、理事者の意向も踏まえて執行部が急遽動いたということではないか。庁舎整備等特別委員会で最初に永井がこの件を持ち出した時の、執行部側の面々の「何を言っておられるのか・・」という表情を思い出すと(オレは場違いなことを言ってしまったのかなどと正直落ち込んだ)、何とも微妙な気持ちがします。何とか気を持ち直して代表質問に取り上げたのは間違いではなかったと今更ながら思います。
いわゆる民間側の通常の意識というものと、執行部側の官の意識というものが大きく乖離していたということが今回の件で露呈したようにも思います。その溝を少しでも埋めていく(「野の声を市政に」)のが議員の仕事だということを改めて肝に銘じた6月定例会の最後でありました。
23/7/6(木)午前