D215 6月定例会終了。 補正予算に意見交換、陳情に賛成討論、意見書に反対討論! 24/7/17(水)

 7/11(木)が6月定例会の最終日でした。永井はR6一般会計補正予算1号に少し長い意見交換(10分ほど)を述べ、スクールバスに関わる陳情に賛成討論を行い、緊急事態への法整備を求める意見書に反対討論を行いました。その報告をしておきます。

 まず一般会計補正予算1号。

 この議案は、総額約9億8000万円という選挙後の肉付け予算として提出されたものです。審査の結果、1事業(人材確保のための住宅手当事業)について準備が足りないとしてその事業分を予備費に回すという内容で修正可決されました(修正案に全員賛成)。意見交換10人、修正案に賛成討論2人という相当なものになりました。

 永井はその意見交換の8人目として、発言。9つの項目について意見を述べました。以下のようなものです。

1,歳出全体

 今回のR6一般会計補正1号は総額約9億8000万円。そのうち肉付け部分は約3億円です。新規事業が48項目5億1100万円。そのうち肉付け分は43件9803万円。政策的な面からの中小の新規案件がとても多い。これまでにない年度途中からの仕事が増えるということになります。特定の職員さんに無理がかからないか危惧をします。

 3月の当初予算で廃止・抑制された事業の復活は18項目で1億4万6000円。このうち抑制の中の整理見直し分に注目すると39件1億5337万円のうち、14項目9509万円が復活しています。復活率を試算すると62%にもなります。

 新体制になって新たに精査ということですが、これでは整理見直しの意味があったのかという疑念を持ちます。観光公社は当初で約4400万円のカット、それが今回3450万円の復活です。削ってはいけないものを削っていたのではないかということを思うわけです。

 合併特例債の利用可能残高はこの補正後は約27億円とのことですが、今年度中が基本の期限です。王国タワー跡地事業に4億円以上という予定も聞いておりますが、とにかく市民の生活向上に役立つことを第一に活用していただきたい。

 以下気になる事業ごとに思うところを述べます。8つあります。

2,生活環境課、ゼロカーボン推進室 一般廃棄物焼却施設整備事業

 新しいクリーンセンターの候補地選定に向け地質調査を実施する事業です。既にいくつかの候補地があり地元との連絡も取れているということですが、くれぐれも地元の方々の不信を招くことのないように進めていただきたい。地質調査は最終処分場の失敗の轍を踏まないようにしっかりとやっていただきたい。 

※網野町の最終処分場は昨年地質調査の不備から計画そのものに支障が出ることとなった。

3,政策企画課 都市拠点等整備推進事業

 将来の財政逼迫を見据えて、新たな「公民連携」で民間資本の導入による公共施設の建設、経営を研究しようという事業です。PPPやPFIの方式が具体的な検討対象のようであります、これらは人口の多い都市部では成功例も多いと聞くものの本市のような人口減少の進む地方自治体には簡単に応用できないと思われます(企業としての利益が上がらないと端から話になりません)。本市の地域拠点作りに果たして間に合うのか、また実現可能性があるのか、という疑問を持ちます。 ※PPPとかPFIというのは公共事業に民間事業者が入ってやる手法を示す用語です。

4,デジタル戦略課 行政情報システム運営事業

 地方公共団体情報システムを標準準拠システムへ移行し(NewTRY-X/ⅡをTRY-X/Ⅳへ)ガバメントクラウドにつなぐという国レベルの事業(約2億9000万円)です。膨大な市民の個人情報が全国で一元的に管理されるというシステムと思われますが、昨今の国際的なサイバー状況の報道や国の様々な国民監視強化政策などを思うと、情報の管理や保護など危険な側面はないのか非常に気にかかります。

5,市民環境部市民課 男女共同参画推進事業

 この事業は、第4次男女共同参画計画の策定のために市民(1000人)、事業者(100事業所)にアンケートを取るというものです。男女共同参画は、昨今ジェンダーギャップ解消の視点から論じられることが多くなっております。また、地方の人口減少問題の構造的原因の一つにこの分野の遅れがあるとの指摘も受けているところです。そういう面を反映した本市の未来を見据えた内容のアンケートになるよう努力をしていただきたい。

6,総務部人事課 人事給与事務

 「日本一働きがいのある市役所づくり」ということで、市長発案によって3つ目の「日本一」事業として今回出された事業ですが、他の二つの日本一(「日本一の海岸づくり」と「子育て環境日本一を目指す」)と同じで、容易に日本一が実現するものではありません。市職員の「働きがい」とは、自分のやっている仕事が確実に市民の役に立っているという実感と、その仕事が適正に評価され報われているという実感によってもたらさせるものだと私は考えます。 また、「働きがい」と「働きやすさ」を混同させてもいけません。

 「日本一働きがいある職場」を作るということなら、まずやらなければならないのは早急な全職員への実態アンケートです。「あなたは今この職場で働きがいを感じていますか? あなたの仕事は適切に評価されていると思いますか? これは無駄な仕事だなと思っている仕事はありませんか?」というリアルなアンケートを匿名で全員から取ることから始めなければなりません。その内容の分析に立っての具体的な改革への検討がなければ実を上げることはできません。また、府下でも最低ランクにあるパスパイレス指数の向上を避けて通ることもできません。 

※ラスパイレス指数とは自治体職員の給与の指数。100が全国の平均基準で、京丹後市のラスパイレス指数は京都府下の市では最下位の94くらいです。

7,財政課 行財政改革推進費

 合併特例債利用が本年度で終わることを踏まえ、将来の財政状況への危機感から今後の「財政強靭化戦略」を策定するという事業です。具体的には、レベルの高い専門家のアドバイスを得て国からの新たな財源確保の道を探るということですが、国の不健全な財政が続く中、日銀が国債の買い入れを制限し、利上げもなされそうだということを聞きます。様々な補助金等の制度はあるのでしょうが、全体として国の財布のヒモが緩くなるようなことは難しいと思われます。今年度中には何らかの成果が求められます。言葉だけにならないよう気合を入れてやっていただきたい。

8,農業振興課 有機農業拡大推進事業

 一般質問でも取り上げましたが、有機農業実践計画の策定に当たっては、現在有機農業に取り組んでおられる農業者の皆さんの励みになる計画でなければ意味がありません。そうでなければ拡大はまず無理です。その点から、今年度学校給食で利用する有機米の買取価格は担当課では十分に耕作者の評価を得られるとの判断のようですが(単純計算で1㎏609円)、実際の耕作者の声は「安い」とのことです。

 有機農法は収量が減る一方で草との戦いに大変な労力がかかります。実際の耕作者の声をしっかり反映した計画でなければなりません。

 本市に隣接する豊岡市では「コウノトリとの共生」を合言葉に「コウノトリ育む農法」というものに20年以上取り組み減農薬、無農薬のブランド米(「コウノトリ育むお米」)を作って大規模な地域丸ごとの有機農業を展開されています(430ha以上、無農薬はそのうち140ha以上)。本市にもコウノトリは棲みついています。そういうエリアを中心にして環境創造型の農業地域、コウノトリと共にあるまちづくりの大きな展望を持って取り組んでいただきたい。

9,商工振興課 地域経済循環促進事業

 デジタルポイント事業でプレミアム商品券を4万セット発行(予算規模約4500万円)するという事業です。財源の多く(約3000万円)が今年度ラストとなる「地方創生臨時交付金」となっています。「やるならケチるな」と言ってきた者としてはそれなりの企画だとは思いますが、この事業については以下の2つのことを強く指摘しておきます。

・20%の利益(5000円で6000円の商品券を変える)ということで、これだけ有利だとおそらく短期間でこの商品券は売り切れます。1人2口(1万円分)が上限ということですが、それをしっかり担保できるシステムでやらないと大変なトラブルになります。 ※誰かが3口以上などが発覚したら炎上します。

・実施日やその方法の広報は相当早い時期からやる必要があります。現在のデジタルポイントカード利用の実績は発行数の約60%ということで、このキャンペーンを機にポイントカードの普及・使用の拡大(再発行も含め)とアプリの普及拡大を図らねばなりません。そのためには前もっての一定の期間と徹底した周知が必要です。 ※12/1が発行日ということです。

 そういうことを心してやっていただきたい。

 以上です。意見交換10人の中では項目も一番多く当然に一番長い時間でした。

 次に久美浜の小学校の保護者から出された「スクールバスに関する陳情」について、付託された文教厚生委員会では不採択すべきものということでしたが、採択すべきという賛成討論を行いました。

 以下のようなものです。

令和6年度陳情第3号「スクールバス運行に関する陳情書」についての賛成討論

 この陳情は高龍小学校の保護者の方々が、夏季冬季の児童の登下校について安全安心の確保の観点から、スクールバスの運行の改善を求めて提出されたものであります。

 陳情者のお一人は、昨年5月11日に行われた久美浜町での市民と議会の懇談会に参加され、私のテーブルで直接この件に関わるお話をされました。私が懇談会の報告に取り上げて、議員の皆さんにも紹介し、他の校区でも似たような声があると課題が指摘されることになり、今定例会の補正予算でその改善の具体策も出されているところであります。

 陳情者はその懇談会以後、PTAの協力も得てアンケートも取られ圧倒的な保護者の賛同を得て、この陳情に至ったということで大変なご苦労をされたことと思われます。

 予算委員会の質疑や一般質問などでもこの件は何度か取り上げられ、課題の共有は一定できてきていると思われますが、解決ということにはなっておりません。この陳情の趣旨は特定の小学校のスクールバス運行の改善要求ですが、市全域の学校の共通する課題であることは明白です。

 その観点から議会として問題点を共有し、今後へ向けてさらなる検討がなされるようこの陳情は採択すべきであります。 以上、私の賛成討論とします。

 以上です。因みに、賛成討論は永井と平林議員、反対討論は小牧議員と山本議員でした。採決の結果賛成少数(永井と共産党の4名で計5名)で否決となりました。

 反対の主な理由は、特定の学校の生徒だけの改善は公平性を欠くというものでした。陳情の文意を解釈すればそういうことになりますが、全市的な課題であり少しでも改善をという陳情者の思いも語られたということで、その意を受け止めたいという思いで永井は賛成としました。

 陳情はもう1本「「ケア労働者の持続的な賃上げと人員確保の保障を国に求める意見書提出に関する陳情」というのがあり、これにも賛成討論をする予定でしたが、質疑の中で自分の討論の論拠の不確かなものが出てきたのでその討論は取りやめました。この陳情は賛成討論2名、反対討論1名で採決の結果賛成少数(永井と共産党の4名と鳴海議員の計6名)で否決されました。

3つ目です。

「緊急事態に対応できる法令等の整備を求める意見書」というものが最大会派の政渓会と第3会派の翔和会から提案されました。提案者は政渓会代表の谷津議員。

質疑の中で、

・自民党の憲法改正案の論点の1つとなっている「緊急事態条項」との関連については、直接の関係はない。 

・先に改正された地方自治法の自治体への指示の特例条項との関係については、自治体だけでなくそれ以上のものも範囲とする。

・立法事実については、明確にこれだというものは示されず。

・緊急事態の内容については、大災害や感染症などのパンデミック、世界的な経済混乱、台湾有事などによる経済への影響などである。

・本市での議論の積み重ねは特になく、そういうことを求める国内の団体の動きに合わせたものである。

というようなことが明らかとなりました。

それらを踏まえて、永井は以下の反対討論を行いました。 

令和6年度議第4号「緊急事態に対応できる法令等の整備を求める意見書」について

 この意見書は、我が国において、今後の重大な緊急事態に対し従来の法体系では十分に対応できない恐れがある、として国に法令の整備を求める意見書であります。

 私はこの意見書には強く反対するものです。

その理由として

  • 立法事実が希薄です、ないと言っても過言ではありません。およそ法律の制定にはその法律が不可欠であるという事実が必要ですが、それがこの件ではありません。従来の法制で十分対応できるものと考えます。大規模な自然災害や感染症などのパンデミックに対しても従来の法制の下で対応してまいりました。未曽有の事態に対し特に国の判断が遅れたり、適切でなかったということはままあったと思いますが、そのことは法の整備とは別の問題であります。
  • 「重大な緊急事態」の中身でありますが、文言として出されている災害やパンデミックだけでなく、先ほど提案者が台湾有事にも触れられましたが、いわゆる有事=戦闘行為、実質的な戦争も想定されているように思われます。我が国は皆さん御存じのように、憲法9条で「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する」と定めています。そのようなことを前提に含む法律は憲法に抵触します。
  • 意見書の求める法整備がなされると、国民の基本的人権の制限や地方自治体への国の命令権が定められることになろうかと思われます。政府の判断で国民の権利が制限されたり自治体の自治権が侵害を受けるという事は、これまた憲法違反であります。
  • 昨今の政権与党が数の力で制定してきた数々の法律、特定機密保護法(2013年12/9)、安保法制(2015年9/19)、共謀罪創設(2017年5/15)、重要土地調査規制法(2022年6/16)、経済機密保護法(2024年5/10)、地方自治法改正(2024年6/19)などは、大幅な国防費増強計画とともにいずれも有事=戦争を想定したものと思わざるを得ません。

 以上のような理由から、日本国憲法の下で戦後78年間続けられてきた平和国家日本の基本をないがしろにするこのような法整備を認めることは到底できません。この意見書には強く反対するものであります。

 他に反対討論が2名。

田中議員:現行法で十分である。法律はあるのに運用する準備ができておらずに対処できなかったことこそ問題だ。福井県の弁護士会は能登半島地震について、政府の権限強化より既存の法整備で自治体の権限強化が重要という意見書を出している。戦前の緊急事態、戒厳令の下で1923年関東大震災の際に罪なき人達への虐殺事件が発生した。その反省に立って現憲法に緊急事態条項は盛り込まれなかった。

鳴海議員:この決議文では具体的な方向性が分からない。憲法議論ではないというがそんなことは通らない。そのものと思われる。この議会で具体的内容を議論してから出すべきもので、現状を変えろだけでは有効な議論にはならない。

※永井はこのお二人の意見にも賛同します。

賛成討論1名。和田議員:要するに決議文の通りであるとのこと。

 採決の結果、賛成多数(13名)で可決。反対は永井と共産党の4名と鳴海議員。この決議文、とにかく危険だと永井は思っています。

 この決議文の他にもう一つ冤罪を防ぐための「再審法改正」の意見書というものがあり、これは全会派一致での議運委員長提案となり全員賛成で可決されました。

 以上、6月定例会最終日の報告です。やっぱり長いですね。

 24/7/17(水)昼

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