D235 3月定例会終了。 静の里条例廃止、存続の陳情は「みなし不採択」、あり方検討会設置! 25/4/5(土)

怒濤のような3月定例会が終わりました(最終日は3/27(木))。前回報告した静の里の温泉プールに関わる3つの案件も議会としての結論が全て出ました。永井としては望んでいなかった内容となりましたが(予想はしていましたが)、それが議会の意思ということになります。
この件ではあれこれと思うこと多く、少し時間が経ちました(1週間以上)が、まとめのような報告をします。
3つの案件とは、①「浅茂川温泉静の里条例」の廃止議案、②「静の里の温水プール存続」を求める陳状、③「公営プールあり方検討会」の設置議案のことです。
その結果をまず簡単に示すと、
①は賛成多数で可決。市の行政財産としての「浅茂川温泉静の里」は廃止、普通財産として施設は管理されることになります。担当は商工観光部。
②は①によって「浅茂川温泉静の里」はなくなったので、その中の温泉プールも廃止され、陳状の求める存続の対象が消滅したため陳状そのものの議論は意味ないとされ「みなし不採択」となりました。
③は、この予算案から一部を削って修正した上で承認されました。一部というのは静の里の温泉プールを利用していた方が峰山町にある民間施設へ行けるようにするデマンドバスの費用のことです。
少し詳しく見ます。
①の条例廃止議案ですが、付託を受けた産業建設委員会から「原案可決すべきもの」(委員会では2対2の可否同数となり委員長裁決で決定)という報告を受け、質疑、意見交換、討論、採決といういつもの流れで原案可決(廃止)となったものです。賛成多数ということですが、起立賛成はおそらく14人(ひょっとしたら退席の議員がいたかも知れません)、反対は共産党の4名の議員と永井の5人でした。
委員長報告への質疑では、紹介された賛成討論(鳴海議員)の中に「数十億円の費用がかかる事態」という表現があったので、その数字はどこで説明されたものかと永井が聞きました。これに対しては少し時間がかかりましたが、一昨年12月に出された資料の全施設の改修には23億円という数字が根拠ということでした。「23億円」を「数10億円」というのは日本語として適切ではないと永井は思います(プールだけなら5.8億円でもあります)。
施設を廃止しながら検討会で存続の議論も排除しないというのは矛盾しているのではないか、検討してからその判断をすればいいのではないか、という質疑(平林議員、橋本議員)に対しては、静の里は温泉とプールの2つの施設が一体となった条例なのでまず廃止してそれから検討という判断になったとの説明だという回答でした。
廃止確定の温泉施設と存続の可能性のあるプール両方合わせた条例なので、温泉に合わせてまず廃止という理屈のようですが、プールのあり方が確認されてから判断して困ることは何もないと永井には思われます。
意見交換では、まず永井が前回の報告で紹介した「議員の皆さんへの問いかけ」を述べました。要するに、3/13の一般質問で市長は「プール改修の6億円よりもっと安くもっといいものができるかも知れない」と永井に言ったが、そこに皆さんはリアリティを感じることができますか? ということです。解体に2億円かけあと4億円でそのようなプールを作れるとはとても思えない。一方で小学校プールには今後10年で13億5000万円もかかる。それを踏まえれば直して使うべきだという考えも同時に述べました。
それに対して、
鳴海議員より、ここは条例審査の場であり「市長の言のリアリティ」は委員会では議論してない。市長は管理運営の責任を持つものとして現状維持は困難と判断し「検討を」と言っている。
橋本議員より、施設についての専門家の知見が必要なのに、市は耐震診断をやろうとしない。エビデンスの出されない中で条例を廃止しようとしている。こういうやり方は納得いかない。
谷津議員より、実際に現地を見て荒廃していると感じた。この施設に拘ることは他の選択肢を狭めることにも繋がる。条例の改廃と関係なくプールのあり方は健康増進等の立場から改めて検討されるべきだ。
和田議員より、学校プールについては指摘のように検討の価値があるが、やり方として公営プールでというだけでなく学校プールの共用などいろんな検討がされるべきだ。
というような意見が出されました。「市長の言のリアリティ」に直接関わってのそれぞれのご意見はなかったように思います。
他の意見として、
和田議員より、まだ35年使える筈のプールを老朽化を理由に廃止するというのは、市の怠慢以外の何物でもない。適切な管理をしてこなかったからだ。一方で議会はそれを是正させる機会があったのにしてこなかった、市民の皆さんに対し申し訳ない。今回出されている陳状は大切なものである。
桜井議員より、条例を残せば費用をかけて管理しなければならない。20年後を見据え原点に立ち返って議論検討すべきだ。
という意見もありました。
討論では、
反対討論が源議員、田中議員、永井より、賛成討論が谷津議員、松本議員、鳴海議員より、3人ずつなされました。
反対の理由の要点は、
源議員:市は旧耐震を廃止の理由にするが、新耐震で作られた可能性も高い、それを調べもしないでの条例廃止は適切でない。
田中議員:昨年12月の議会で「公営プール存続」の請願を議会は趣旨採択し、それを受けて市長は検討するとしたが、多額の費用を理由に廃止という今回の議案だ。一方であり方検討会でプール存続も排除しないという。完全に矛盾している。今すべきはあらゆる調査検討であって条例の廃止ではない。
永井:施設は既に休館となっており、誰も困ってはいない。事実に基づいてしっかり検討すべきであり、条例云々はそれからのことだ。
賛成の理由の要点は
谷津議員:まだ35年使える施設が老朽化を理由に廃止に至ったことは非常に遺憾である。一方現状では多額の修繕費が必要で、原点に立ち戻って健康施設として検討し直すべき、網野交流センター事業の中に組み込むことも可能性の一つ。条例は廃止すべきだ。
松本議員:この議案が否決されれば市は良好な管理を維持しなければならず大変である。廃止してあり方検討会で検討するのが妥当だ。
鳴海議員:廃止案を否決しても、執行部の今後のあり方への判断を鈍らせるだけ、それはよくない。廃止して速やかかつ効果的な検討をすべきだ。教育と健康のためには公営プールは必要、早急に共用開始できるよう求めたい。
採決の結果は前述の通り、賛成多数で浅茂川温泉静の里条例の廃止を決定。
続いて陳状の審査に移り、

議長より、条例が廃止されたのでこの陳状は委員会の決定通り「みなし不採択」としたいと思いますが異議ございませんか? と確認の提案。
※産業建設委員会の報告も陳状は「みなし不採択とする」というものでした。
永井より、「異議あり」の声。
これに対して議長と議員のやりとり(異議ありと議員に言わせていいのかの議長への問に、簡易採決の方法だけのことなので問題ないと議長の回答)のあと、
議長:簡易採決に異議ありの声がありますので、改めて起立採決を行います。「みなし不採択」に賛成の議員の起立を求めます。起立多数、陳状はみなし不採択となりました。
この時の起立は永井以外全員であったように思います(18対1か・・)。永井はみなし不採択という制度を知らないわけではありませんが、施設は残って存続の議論もなされるのなら、条例の廃止によって陳状の意味が0になるものではないので、みなし不採択は適切でない(陳状として別に審査されるべきだ)という思いがありましたが、そのことを伝える場がなかった(産建委員会の所属でもないし、議会運営委員会の委員でもない)のが背景となって「異議あり」の声を上げたものです。
3つ目の公営プールあり方検討事業の予算案の方ですが、この事業は検討会の設置運営費83万1000円と利用者の代替補償としての(峰山にある民間事業者への)デマンドバス試行の費用123万2000円を合わせて206万3000円を計上するものです。付託された産建委員会で、このデマンドバスについて利用予想者が2名ということや、他の公共交通との公平性に問題があり適切でないと判断され、この部分を削除して予備費に回すという修正案が提出されました。

R7年度一般会計の最終審査の中でこの修正案が全員賛成で可決され、プールに関わっては「あり方検討会」の設置運営だけが認められたという結果となりました。
尚、条例廃止の可決については、産建委員会の附帯意見が付けられています。その要点は、
①公営プールの必要性を市民の理解が得られるようにしっかり検討せよ。
②廃止された施設については、極力安く処分せよ。
③他にもたくさんある市有財産の適切な維持管理、有効活用の施策を講じよ。
という内容のものです。
永井はこの最終日の静の里の温泉プールの議論を通じていろいろな思いを持ちました。最後にそれを記します。
・浅茂川温泉静の里施設のこれまでの市の管理についてズサンである、怠慢であるという指摘が山のようになされましたが、結局市はその責任を認めることはありませんでした。「最低限の管理はやって来た」、というのがその統一見解です。 あと30年以上使用できるはずの施設を老朽化を理由に廃止しなければならないのは管理不十分以外の何物でもありません。ここに根本的な問題があります。これは市民への背信行為と言わざるを得ません。
・また、昨年12月定例会で「公営プールの存続を求める陳状」を全会一致で趣旨採択した議会は、今回市の責任を批判し管理のあり方を問題視したものの、市の「改修には莫大な予算」という言葉を認め、専門的な建物調査をやらないで廃止という市の提案を飲んで条例廃止に同意し、同時に「存続を求める陳状」を本会議の場で議論することなく「みなし不採択」としました。その上で、あり方検討会で検討せよという結論も下しました。 あり方検討会の議論やその後がどのようなものになるのかは一定予想されますが、そのことへの危惧については永井以外誰も論じようとはしませんでした。そんなことでいいのかという強い思いが残りました。
・それと今回の陳状、この多くの市民から突きつけられた市と議会への指摘は結果として不採択となりましたが、とても重要かつ検討に値するものでした。 市はこの陳状を本会議の表舞台で議論することを避けたいが故に、条例廃止という奥の手を急遽考え出したのではないか、と永井には思えてなりませんでした。
とにかく、この件の議論の舞台は「公営プールあり方検討会」に移ります。委員には利用者などの市民公募も行うということです(是非応募して検討に活をいれていただきたい)。その議論の行方を注視しましょう。
財源の事を考えるとそんなに簡単に実現するとはとても思えません。なんだかんだで結局市民のプールがなくなっただけという事になるのなら、永井の危惧の通りとなります。
2025/4/5(土)午後