D236 宇川の最奥に行ってきました。 議会最終日の永井の意見交換と討論も報告しときます! 25/4/6(日)

今日は、今年最初の山歩きに行きました。永井の住む宇川地域で昭和30年代以降に離村された集落が4つあるのですが、その中で一番知られていない竹久僧(たけぎゅうそ)という集落跡(発電所のある小脇の少し先を左折して山を上っていった所)に40数年ぶりに行ったのです。
離村の碑を見つけました。昭和38年の離村とのこと。昭和49年に建てられたこの碑にはかつての住民9名のお名前が記されていました。
4年前「丹後の山に風力発電所を」という話が起こって以来、永井は時間が許せばその丹後の山を歩くようになって今に至っています。
さて、昨日プール関係の報告をして、ついでに最終日に永井が行った意見交換と討論もまとめたのですが、それだけでは味がないので最初の枕に本日の行状を入れてみました。 ※キャッチの画は竹久僧の離村碑です。
その上で本日のメインディッシュに入ります。最終日の意見交換と討論5本を、ほぼしゃべった通りに報告しておきます(6200字ほどです)。最初に簡単な解説を付けておきました。
1,静の里条例廃止への意見交換
★昨日の報告のプール問題での議員への問いかけ全文です。
議案第18号 「京丹後市浅茂川温泉静の里温条例廃止について」、意見交換といますか、皆さんにこの場で問いかけをしたい。
今議会にはご存じように、この条例廃止議案と、プール存続を願う陳状と、「公営プールあり方検討会」の予算案と3つが出されています。陳状については、この条例廃止議案の可否によって、この場での議論がなくなる可能性もあります。
そのような状況の中、私は去る3/13日の一般質問でこの「静の里温泉プール」の問題を取りあげ、市長からの反問権による質問もいただいてその見解をぶつけ合いました。そこで議論となった件について皆さんはどのように思っておられるのかを是非ともお聞きしたい。
「あなたはどうせよと言うのか?」という市長の質問に対して、私は「価値のある施設です。直して使いましょう。学校プールのことも考えれば残して利用が一番良いです。」と答えると、市長は「改修には6億円、全部直せば10億20億もかかる。もっと安くでもっといいプールを作れるかも知れない。そうならばそちらに乗るのが行政の責務である。」と言われるので、「10億20億の話は今初めて聞いた。ならばまず建物の検査をして、どれだけかかるのか調べてから議論しましょう。」というようなやりとりを行いました(市は今のところ建物の検査をする気はありません)。
市長の言に従うならば大改修の6億円より安く今のプールより良いものを作れる可能性ありということですが、果たしてそれは説得力のあるものなのか?
まず、プールの取り壊しにはR3年の試算で2億円がかかります。おそらく諸物価高騰でもっとかかるでしょう。残りの4億円以内でそのもっと安くてもっとよいプールを作れるのか?
市の6億円以下の論拠になっているのは、おそらく福知山でR5年に作られた民間プール(6レーン、静の里は7レーン)が約4億円というのであろうと思われますが、何年先か分からない本市の建設時にその額が維持されているとはとても思えません。今後10年で13億5000万円という小学校のプールの今後についての議論も全くなされていません。
在り方検討会が設置されるとして、半年の議論でどのような結論を出されるのか分かりませんが、プールの新設となれば何年先のことになるでしょう。その間ずっと市民は公営プールを使えず、様々な課題が顕在化してくるのは十分に予想されることです。
市長は「6億もかけて直すより、もっと安くもっといいものが作れる」かもしれない、と言うのですが、そこにリアリティを皆さんは感じられますか、ご意見を伺いたい。
以上、永井からの問いかけです。
2,静の里条例廃止、反対討論
★条例廃止に反対した討論の全文です。反対は5人、賛成多数で条例廃止は可決。
議案第18号 「京丹後市浅茂川温泉静の里温条例廃止について」、反対討論を行います。
この条例廃止議案は、本市発足の2016年より旧網野町の施設を引き継ぎ、温泉を利用した浴場とプールで構成される「浅茂川温泉静の里」として広く市民に利用されてきた施設を行政施設として廃止するというものです。浴場とプールは2/24日を最終営業日として閉館されており、4/1より指定管理をやめるということになっています。
市は一方でR7年度予算に「公営プールの在り方検討会議」の経費を計上し、静の里の温泉プールの今後も含めて今後へ向け半年かけて幅広く検討する方針でもあります。また、温泉プールについては「存続を願う会」より本議会へ「存続を願う」陳状が提出され審査もされています。
私は、陳状を出された皆さんの思いや考えに賛同すること大なるものがあり、この件について先の一般質問で取りあげ、市長と見解の違いをぶつけ合ったのは記憶に新しい所です。
様々な思いがありますが、この条例廃止については全くその必要はないと考えます。その理由です。
①施設は既に閉館しており、安全上の問題等何も不都合は生じておりません。
②条例は当面置いておいて、公営プールの検討の結果が出てからその在り方の結論を出せばいいだけのことです。
③廃止しないと条例第3条の「常に良好な状態にあるように管理し、効率的に運営するよう努める」ことができないから、という市の主張に対しては、これまでこの条例の下で施設を運営してきて「常に良好に管理できなかった」が故に耐用年数で浴場はあと38年、プールがあと36年使える予定のところを使えなくなるという今日の事態になっているということを市はどう認識しているのかと問いたい。
長いこと良好な状態ではなかったけど運営してきたわけです(3億円以上の高額の指定管理料を支払って)。そしてR3年の調査で問題ありとされながらも、R7年度一杯までは運営する予定でもあったわけです。それをここへ来て「良好な状態に管理できない」とはどういうことなのか、だから「とりあえず閉鎖して検討します」なら分からないことはないけれど、一気に廃止とは無茶です。
④温泉浴場も一緒の施設だからという理由もあるようですが、今どちらも閉館で使えないのですから、公営プールの今後と絡めて考えればいいだけのことです。
⑤廃止すると、国の補助で作ったチップボイラーをまだ5年の価値があるのに(資産としては約6000万円)壊して、さらに国へ1000万円を返納しなければならない。何故そんな無茶なことを敢えて選ばなければならないのか、私には理解できません。
⑥そんなお金があるなら、まず明確でない建物の強度の検査(1000万?)をやって下さい。その上で「あり方検討会」に望まれるのが筋ではないですか。
以上、私の「静の里条例廃止」への反対討論とします。
3,令和7年度一般会計予算、意見交換
★新年度一般会計予算への意見です。この予算はプールの件での修正を経て賛成多数で可決されました(反対は共産党の4名)。永井も賛成しました。
議案第30号 令和7年度京丹後市一般会計予算について意見を述べます。
まず、総論として
令和7年度一般会計予算は、歳入歳出の総額378億3000万円、市政発足後最大規模であった昨年度当初予算から大幅に減額されたもの(57億4000万円、13.2%減)となっております。
昨年度の増額要因であった増築棟建設、庁舎整備(52億2000万円)と給食センターの建設費(14億7000万円)がなくなっても一昨年度(R5年度)の当初予算の数字(373億6000万円)より4億7000万円多くなっています。人件費や諸物価高騰が背景にありますがこれだけ見ても厳しい予算と言わざるを得ません。
歳入において、ふるさと納税寄付金額21億円(昨年度より4億円アップ)が見込まれ、歳出ではその基金より約12億2000万円が一般財源として33の事業に活用されています。自主財源率も32.9%と過去最高となりました。この5年間のふるさと納税拡大事業の成果であると大きく評価をいたします。
一方、歳入で、税収増(約3億1400万円)やふるさと納税基金操出金増(4億円)、合計で約7億1000万円の増額があり、歳出では「徹底した見直しによって」廃止抑制約4億8000万円(廃止23項目1億364万円、抑制65項目3億7000万円)、合計で12億円弱のプラス要素がありながら、基金からの操出は約33億円で基金残高は7年度末で6年度末より20億円減って57億円となる予想です。
分科会審査の中で2つの基金(都市拠点整備と一般廃棄物処理施設の関係)1億5000万円を積みたくても積めなかったということや、あらゆる事業で細かいところが厳しくカットされていることを確認し、今回の予算の厳しさを示すものと理解しました。それらのカットへの市民の皆さんの批判の声をいろいろと聞いています。
その厳しさの背景には、人件費の増額や諸物価の高騰があるものの、そのベースには増築棟建設や庁舎整備への多額の出費がボディブローのように効いてきていると私は感じています。
「財政強靱化」、「新たな公民連携」、言葉だけはあちこちに出てきますが、聞いているだけでは海のものとも山のものとも分からないのが実態です。R7年度はその実を見せていただかねばなりません。
合併特例債がなくなる中でのR7年度です。現在進められている増築棟、庁舎整備、給食センター、竹野川衛生センターの事業に続いて、今後の大型事業4つで270億円以上というのが控えています。(最終処分場80億円、都市拠点65億円、網野交流センター14億円、新クリーンセンター118億円)、その先に久美浜病院の整備というのも控えています。
本市の財政指標は「健全の範囲」にはあるものの、府下の自治体の中では最下位に分類されるポジションにいることを忘れてはなりません。
市の人口ビジョン(2060年に4万7000人)を横に見ながら、現実として人口減少が止まりません。年に800人程度であった減少幅が、昨年度今年度1000人と聞きます。市民の皆さんの目も大変に厳しいものがあります。
各事業について、現実に即して様々な面からの検討と財政の悪化につながらない工夫が必要です。
各論についても少し触れます。
ICT推進、デジタル化に伴う事業について、 デジタル化は時代の流れでもあるので後戻りはできないものと理解しますが、投資額も大きく常に機器の更新に費用がかかります。ランニングコストも安くはない。行政事務の効率化や人件費の削減にどの程度貢献しているのか常に検証をしながら、過剰なものにならないように進めていく必要があります。
※行政システム3.9億円、デジタル戦略1500万円、地域ネットワーク1400万円、ブロードバンド事業2.2億円。
脱炭素事業について
本市のCO2排出量削減2030年に半減という目標は達成されつつあるとのこと。R7の予算額は増額されていますが(約6000万→1億1360万円)、市も市民も市内事業者も含めみんなでという雰囲気があまり感じられません。積極的な事業の拡大浸透が望まれます。
一方、昨年も述べましたが、ゼロカーボンの基盤となる森林整備・保全の取り組みは、森林環境譲与税などの財源確保は一定あるものの、人材確保が進まず、大規模な展開が難しい状況です。ゼロカーボンの視点から森林環境整備を正面に取り上げ、人材確保のための更なる施策が求められます。
農林の有害鳥獣対策事業
今、シカの被害が全市で急激に拡大しています。実態に即した早急な対策が求められます。
商工振興の分野では、自然あふれるビジネスモデル事業、新シルク産業創造事業、食品加工センター事業、デジタルポイント事業など力を入れてきた懸案の事業がそれぞれ一定の区切りの時期を迎えています。しっかりとした総括と今後への展望を示していただかねばなりません。
観光関係などの指定管理制度、R7は10数カ所で1億7000万円以上の指定管理料が見込まれています。民間活力はしっかり機能しているのか、課題をいくつも感じております。今後へ向けての検討と選定での厳しい吟味が必要です。
昨年のこの場で大きな期待を寄せたいと述べた農業分野の有機農業拡大推進事業、京丹後独自ブランド米やオーガニックスクールなどの取組は進められていますが、生物多様性農業事業への新しい発想がないのがとても残念です。
最後に、
「公営プールあり方」について、もうここでは多くを述べませんが、とにかく市民目線に立った市の対応が求められています。
以上、永井の意見交換とします。
4,王国展望台跡地整備事業請負契約、反対討論。
★昨年12月定例会で可決された大型遊具(すべり台など)を設置するという丹後王国跡地整備事業(総額4億7900万円)の具体的な整備請負契約(約2億6000万円)についての議案です。永井は12月定例会で、来客数の予想が現実離れしているとして反対しました。12月と同様、結果は賛成多数(反対は共産党の4名と永井の5人)で可決となりました。
議案第58号 「丹後王国展望台跡地等整備工事請負契約の締結について」、反対討論です。
私は、昨年12月定例会でのこの事業の予算についてその集客予測が現実離れしていると批判して反対を致しました。その判断は今も変わっておりませんので、本議案にも反対です。
5,マイナ保険証についての陳状、賛成討論
★国が従来の保険証を廃止してマイナ保険証にむりやり移行させようとしている中で、従来の保険証の存続とそれができない間の「資格確認証」の被保険者全員発行を求める陳状で、昨年12月定例会に出され(保険証発行停止の12/2以前に提出)、付託された総務委員会で継続審査となっていたものです。
総務委員会では賛成少数(賛成2対反対3)で「不採択すべきもの」とされていた議案です。 結果は賛成少数(たぶん共産党と永井の5人)で不採択となりました。
陳情第10号 「現行の健康保険証存続を国に求める陳情書」について賛成討論を行います。
この陳情は、マイナンバーカードに紐付けされたいわゆるマイナ保険証を全国民的に普及させるために、国が従来の健康保険証を発行しなくなる(実際に12/2より実施)ことについて、長らく国が続けてきた「国民皆保険」原則が崩され困る方々が出てくることを危惧し、従来の保険証の存続とそれが実現しない間の「資格確認書」の全ての国民健康保険被保険者へ発行を求めるものです。前者は国への要望を表明することとして、後者は市への施策要望として本議会へ出されています。
マイナンバーカードの取得が任意であることは皆さんご存じの通りです。その任意のカードに保険証を紐付けるのも当然任意です。であるのに従来の保険証を廃止し発行しないというのは、従来通りの保険診療が受けられなくなるということで、おかしな話であり無理な話です。そこで「資格確認書」というものが考えられてマイナ保険証を持たない方の保険診療を保障して「皆保険」の原則を維持しようというのが今の国の施策ということです。
「資格確認書」の発行は当面5年間とされていますが、国がマイナ保険証への全面移行を目指しているのは明白です。
昨年市内の病院でもマイナ保険証を使用する条件が整えられ、国の予定通り12/2に新たな保険証の発行が停止されました。総務委員会で調査したところ、それ以後、病院等で特に困ったことは生じていないということですが、一方で高齢者福祉施設や障害者施設を利用しておられる方々は、マイナ保険証を使用される方はごく少数であり、障害者の皆さんではそもそもマイナンバーカードを持っておられない方がほとんどという実態を聞いております。
後期高齢者の皆さんのマイナ保険証使用率は本市でも低く、マイナ保険証交付率は67.6%で使用率は30%未満(昨年10月で17%台)ということです。
昨年12月の全国の数字は使用率も25.42%とあまり伸びてはいません。一方でマイナカードから保険証の紐付けを解除された方が4万5千件を超える(24年末)ということです。紐付けをしていても従来の保険証を使う方が多いのが実態です。
従来の保険証を維持して何か不都合なことや困ったことが起きるのか、廃止しなければならない理由が私には分かりません。逆に、高齢者施設や障害者施設などで、カードの保管や個人情報の管理、更新の作業など明らかに手間のかかる課題の多い事が予想されます。
マイナンバーカードの制度が一定普及し(2025年1月末で京都府74.9%、京丹後市79.5%)、マイナ保険証を使用する方が相当数おられることは存じております。個々の皆さんがそれを選択されるのは自由です。一方で、それらの制度や保険証を利用したくないという方の選択も保障されるべきです。また利用しにくい方々やその管理に困る方々もおられます。
※参考、立憲民主党は1/28に、「マイナ保険証の解除者が多数存在する中、不安の払拭されるまで紙の保険証を併用すべきだ」としていわゆる「保険証復活法案」を提出しています。
最近運転免許証のマイナカード紐付けが話題になっております。一方で、安全管理の基本はリスクの分散にあるということは、現代社会の常識です。殊、マイナカードに関わって、国は情報をこの1枚のカードに集中することに躍起となっていますが、情報の集中はリスクの集積と表裏一体です。
何もかもマイナンバーカードに集中して紛失したらどうされるのか(保険証紐付け解除の第一の理由はこの「紛失への恐れ」ということです)? マイナンバーカードに関わってこのリスクについての議論がほとんど聞こえてこないことに私は兼ねてから大きな違和感を抱いております。
何もかもをマイナンバーカードへは危険です。
そういうことも含め、陳情者の願意を汲み、健康保険証の存続と「資格確認書」の被保険者全員配布を求めるこの陳情の採択を求めるものです。
以上、私の賛成討論とします。
2025/4/6(日)