D131 自然電力、2回目の市民説明会! 3時間、質問者18名、事業の実態が見えてきた!! 22/3/27(日)
昨3/26(土)の午後、磯砂山風力発電所計画の自然電力の2回目の市民説明会がありました。先週の峰山に続いて永井も参加しましたので、今回はとにかく早めに報告します。
220326(土)自然電力(株)市民説明会 大宮セントラーレホテル2F大広間
14:00開始。14:45まで事業者からの説明。その後17:00まで会場の参加者との質問、意見、やりとり。事業者側は自然電力4名、日本気象協会5名。一般参加者は50名以上。
質問者①:配慮書の地形・地質は×となっている。重要なとこはないということだが、昭和初期に大宮町上常吉の車谷の桜ヶ成という所で大災害があって、濁水が間人まで流れ1年間収まらなかったと聞いている。こういうことは知っているのか?
回答:地域の方に聞いた。地形地質は配慮しないのではなく森林法の規定に基づいてやるということです。重要なものは文献上には存在しません。※文献がどういうものかの説明はなし。
質問者②:前回も参加した。再エネは必要と私も思うが磯砂山は問題だ。その上で、
a、太鼓山で失敗した雷対策はどうなっているのか?
b、風車は強風にどこまで耐えるのか? 風車のカットイン、カットアウトは?
c、風車の稼働日は年間何日か?
d、風車施設のメンテはどうされるのか?
e、風車を撤去したあとはどうなる?
回答:a、太鼓山時代とは風車のレベルが違う。国の基準がとても厳しくなっている。地域別にクーロンも指定されており、雷の電気を完全に逃がす仕組みとなっている。風車の管理は常駐スタッフがいて行う。24時間365日遠隔監視システムも動いている。
b、50年に一度の強風にも大丈夫。カットイン(発電開始)は3m/秒、カットアウト(発電停止)は25m/秒で、これを超えると風車を停止し風をスルーする方向に向きを変えます。
c、風さえあれば、365日毎日回せます。 ※質問は実際には何日発電するのかということではと思ったが・・。
d、風車の点検は1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、3年、5年に行われる。何かあれば即対応します。
e、全て撤去のあと、更地にして緑化し、元の状態に戻します。 ※山に戻せるのか、それはムリでしょ!
質問者③:山の尾根に4000㎡を14ヶ所。とんでもない量の土砂が出る。世界的に1万2000年間の安定期を終えて気象が過酷化、激甚化していると言われている。そんな中の20年間、気象協会の方(配慮書担当)はこのことをどう考えているのか?
回答:温暖化は全球的なもので個々の事案は別。ここで何が起きるかは、アセス法による調査を法に従ってやって評価する。
Q:例外的な気象に対しては?
回答:我々にはそこまで求められていない。
回答:国の基準は厳しく、数10年に一度のものでも対応できる計画を作る。風車のサイズは大きくなり広さも増える。行政の基準に従い磯砂山系の特別性も考えて皆さんの意見を聞いて慎重にやっていきたい。
回答:調整池の堰堤の高さは200年に1度の災害に耐えうる高さ。池の広さは100年に1度、水量は50年に1度に耐えうるものを作る。水がこの池を越えることはない。安心できる大きさである。 ※ホントにそうか。最近丹後でも降る時間100㎜を越える雨でも越えないのか・・?
回答:この池は風車の撤去とともに撤去する予定だが、東北地方などでは市に移管して管理しようかという話も出てきている。ただ、私有地ではそれはムリだ。 ※削られた山と道は残り、沈砂池も調整池もなくなる。それ以後出る土砂はどこへ行く!?
質問者④:峰山町の五箇の住人だが、昨年の説明会の時と話が違ってきている。災害への質問について、地区で回覧されている文書に説明がない。
a、当初より風車の位置が峰山よりになっているが、その理由は?
b、予定地への進入路が当初なかった峰山側にも記されているが、何故か?
c、保安林がある、解除は難しいと思うがどうするのか?
d、現地は直接見に行ったのか?
回答:a、少し位置を変えた。 ※理由の説明なし。
b、進入路の候補をいくつか図に示した。
c、保安林の場所は分かっている。なるべく触らないように考えたい。
d、風況調査の場所だけは見に行って確認した。 ※この3月から風況調査が始まる。他の所は行っていない。
質問者⑤:昭和11年(1935)4/21の11:00に車谷で大地滑りが起き、1年間間人の海が濁った。この災害の桜川砂防工事が昭和11年~16年に金下建設によってやられた。金下シュウゾウ氏がこの時の現場監督で、彼はここで日本語を覚えたとのこと。この堰堤を見に来て欲しい。
回答:見に行きます。
質問者⑥ :私の住んでいるのは土砂災害指定地域、その家の上に風車が予定されている。とんでもないと思っている。
a、水や土砂関係を監視する者はいるのか?
b、20年後の経験はあるのか? 他の事業者ではどうか知っていたら教えて欲しい?
c、事業継続の判断はどのように?
回答:a、常駐者が確認する。
b、うちにはその経験はない。他の事業者でもごく少数。自治体ではいくつかある。20年後の災害防止のことも考えて安心してもらえるようにしたい。
c、風況観測をまず1年やってから判断したい。
質問者⑦:私の住む大宮町森本地区では今治水ダム工事をやっているが大変な工事だ。磯砂山系は巨大で谷が一杯ある。その谷全部に沈砂池、調整池を作るのか?
回答:谷筋全てに置くというものではなく、どこに水を流すかを考えて沢を選んでやる。何カ所になるかは分からない。北川は砂防制限がかかっているので流域を変えることはできない。 ※ということは、調整池は全て大宮側ということになるのか・・。
質問者⑧:a、新しく作る道が5m×4000mで20000㎡、風車が4000㎡×14で5万6000㎡、計7万6000㎡(7.6㏊)。これで樹木はいくら伐採されるのか?
b、磯砂山は脆い土質だが風車の基壇の杭はどう打つのか? 数10mの深さまでとも聞いているが。また14基の風車の杭が打たれると山の全体が崩れる(山体崩壊)というような危険はないのか?
c、打った杭は風車撤去の時に抜くのか? その跡地も心配になるが。
回答:a、約3000本と想定している。 ※どんな樹木を想定しているのか分からないが、この本数なら25㎡(5m四方)に1本の計算となる。磯砂山の緑の山の木はそんな疎らな生え方だろうか・・。
b、杭打ちは土質によりけりで平地にカンカンと打つようなことは、特に山ではしない。固すぎるためだ。普通穴を掘ってコンクリートを入れてそこに杭を突っ込むという方式となる。杭はよほどでないと打たない。山体崩壊、そんな事は考えられないしそういう例も聞かない。全国に今風車が約2000基、再エネが叫ばれながらまだまだこんなもの。この中で倒壊したのは2例ほど。基礎が原因の倒壊はまずないので安心して下さい。 ※淡路島で倒壊し放置されていたのはそのうちの1例ということか・・。
c、杭を抜くにはその大きさの3倍の穴を掘らねばならない。地表から2mは撤去が基本だが、抜けば地盤が不安定になるということもある。地域、行政と相談してということになる。
質問者⑨:意見書のメールも出したけど、なんで丹後なのか? 六甲山、比叡山、天王山などの都会の傍の山こそベターではないのか? 自然に負荷をかけないのが自然エネルギーではないのか?
回答:都会でと言われるのももっともですが、いろいろと難しい。いろんな条件を考えて偶々こちらになったということです。自然エネルギーは仰せの通りです。
質問者⑩:環境環境と言いながら一番に自然を壊している。これでは皆が死に至る。子ども達を守れない。20年で廃棄、ゴミだらけになる。ゴミと災害で日本が壊れる。この説明会のチラシも小さなB5版で折込でも分からない。企業と日本のやり方がダメだ。
回答:自然と共存してやっていきたい。 ※それができないと言っておられるのだが・・。
質問者⑪:テレビ番組の百名山には風車を一度も見たことがない。 ※そう言えばそうだ。
a、景観について、山に登って風車がジャマだということになれば建設は止まるのか?
b、国営農地の沈砂池は全く浚渫をしていないが?
c、木を伐ったら土砂が出る。太い樹木もあるが?
回答:a、景観は見え方によって色々検討します。
b、なぜ浚渫しないか不思議です。それはおかしい。
★この回答に対して会場より、砂を埋めておくのが沈砂池だ。そんなもん誰が取る、国がそうやっとる。泥は産廃で捨てるところもあらへん。ワシは土木の経験者だ。との声あり。
それに対して、それにはコツがある。消石灰を混ぜて水を落とすと産廃でなく建設残土となる、うちはそうして浚渫している。との回答者とのやりとりあり。 ※何だか凄いことを聞いたような。
回答の続き:土砂は7.6㏊の開発で初年に150㎥/㏊が出るので全部で約1000㎥だ。これを10ヶ所の沈砂池に分けて1ヶ所100㎥のメド。2年目からは5㎥/㏊でもう大したことはない。ソーラー200ヶ所の実績でもそういうことだ。
★この回答に対して会場より、それはソーラーの平地でのことでしょ。山の尾根での実績とは違うでしょ。の指摘あり。
それに対して、国の基準ではソーラーであれ風力であれそうなっている。という回答者の応えあり。 ※結局風力の山の尾根での実績はなく、平地と同じ机上の数字ということだ。
c、木を伐るのは最低限の範囲でということです。 ※最低限も何も道とヤードは伐らんと作れないでしょ。
質問者⑫:色々調べてみると、異常気象ということはあっても、CO2で温暖化というが特に気温は上がっていない。そういうキャンペーンがビッグビジネスに利用されているだけだ。1960年代にはあと10年で石油がなくなると言われたが、今石油はいくらでもある。その後も10年毎にいろんな事が言われたが、結局それはウソだった。今のCO2で温暖化、地球危機も怪しいもんだ。そんな事を理由に山を壊してまで風車はいらん。子どもに美しい山を残したい。
回答:ご意見ありがとうございます。いろんな説があります。私たちは自然との共存を目指しています。
質問者⑬:風車関係なく今村で土砂流出や災害だらけ。川に魚もおらんようになったし、蛍も飛ばんようになった。それくらい山が荒れとる。風力発電をやればこれだけの利益が地元にあると熱意を持って言わんと、それならワシらもガマンしょうということには皆ならん。夢みたいなことを言っているが、太鼓山は大失敗だった。
回答:地域への貢献は資料(20p)に示しています。
質問者⑭:a、磯砂山は花崗岩質の山、8年前の広島の大洪水を思い出すがどうなのか?
b、太鼓山の3.5倍もの大きさ(175m)の風車ということだが?
c、資料に中小水力発電所の例が出されている、丹後にこういうのはどうなのか? 地熱発電などもいいかなと思うが?
回答:a、広島の水害は谷盛土造成で起きた最初の例だ。私たちは最初から谷を埋めたりはしない。安心設計を心がけている。窪地を利用してそれ(盛土)はやりたい。
★これに対して会場より、広島の豪雨災害はそんな事ではない。風化した花崗岩の山に大量の雨水がしみこんで、花崗岩の3~4mの大きさの岩と真砂土が一気に土石流となったものだ。山津波と同じです。盛土とは全然違う。磯砂山も広島と同じ性質の山だ。との怒りに満ちた指摘あり。
それに対して、まあ広島はそういうことですという応えあり。 ※谷盛土造成は虚言だったのか?
b、太鼓山は50mの支柱に25mの羽根で風車の高さは太鼓山プラス50mくらいです。3.5倍もありません。
c、資料の水力発電は長野県での地域新電力のもので、地域の電気を地域で作るというものです。当社はこういう形のものにも参加しているということです。京丹後でもいろいろな可能性は調査していきたい。 ※丹後での中小水力発電や地熱発電への言及はなし。
質問者⑮(永井):a、配付の資料には審議会に出された配慮書の具体的内容に関わるものがないがどうしてか?
b、その配慮書の中でKBA(国際的に指定された生物多様性重要地域、日本に260地域ほど。丹後半島はその全域が156番目に選ばれている)に触れて書かれた部分があったが、KBAを全体としてどう捉えているのか?
c、市のゾーニングが今年(2022)始まって来年(2023)にはできるが、その時御社の予定では方法書による調査の時期に当たる。この市のゾーニングで磯砂山系がアウトになったらどうするのか?
d、FIT申請について、昨年8月の説明会の時申請が1年遅れると入札の単価が下がって厳しくなるとのことだった。今回その1年が遅れた、今の入札ではおそらく16円くらいではないかと思うが、それで経営(採算)のメドはどうなのか?
e、FIT申請には地権者の意向が条件となると思われるが、どの程度のものが必要なのか?
回答:a、事業計画の方をメインにしたためです。 ※出せば審議会と同じように激しい批判が出るので控えたということではなかったか・・。
b、KBAについても配慮書に入れています。生物多様性の重要な地域ということです。例えば絶滅危惧種のアベサンショウウオの保護の件など。
c、ゾーニングですが結果がまだ出ていません。出てから検討、協議するということです。
d、そのことも含めて入札価格を決めていきます。
d、地権者の方々とのある程度の合意が必要です。今後交渉していくことになっています。
※どのレベルまで(協力同意書なのか、契約書なのか)とかは言わず。
★そこで永井は再度確認。
cの回答について、
Q:ゾーニングでダメとなったら事業中止の選択もあるんですか?
A:あります。
bの回答について、
Q:KBAは個々の希少種というようなことではなく丹後半島全体が生物多様性重要地域ということですね?
A:そうです。
永井:ゾーニングには当然KBAも関わってきます。その認識を十分に持っていただきたい。
※自然電力も、気象協会も担当が頷く。
質問者⑯:a、1基当たり1万㎥の切土14基分をどこへ持っていくのか?
b、20年経った後(風車撤去後)の場所の管理はどこの責任になるのか?
c、必要なコンクリートの量が半端ないものだと思うが、どうやって運ぶのか? 山にプラントを作るのか、生コンミキサー車で運ぶのか。プラントを作れば大量のアルカリ水が出るし、ミキサー車で運べば大変な車の量で住民が困る。
回答:a、1基1万㎥の根拠はヤード4000㎡を2.5m削るという計算から出ている。14基14万㎥の土を遠方へ運ぶことはできない。適地を探さねばならない。今はまだ分からない。 ※平地ではなく山の尾根だ、そんな量ですむのか。適地というが彼らの言う窪地=緩やかな谷に盛るしかないのでは。
b、20年後は現況復帰ということだが、どうやってやるか、削った土は元には戻せない。どういう形で植林するかは20年後の課題です。沈砂池等は防災施設として受け取っていただけるなら管理については協議する、地元の要望しだい、なければ撤去するということになる。
※土を元に戻せないならそれは現況復帰とは言わない。要するに20年後は風車の撤去以外何もはっきりしていないということ。これは大変な事だ。
c、ミキサー車で運ぶ。1基毎に2から3回に分けてコンクリートを打ちたい。本来は1回で打ってしまうのがいいのだが、それでは交通量が一気に増えるし、それだけの生コン車を揃えられない。プラント方式はとらないので山の上からアルカリ水が出ることはありません。
以上、挙手し指名を受けての正式質問者は16人、他にやりとりもあって実質は18人くらいか。質問者⑫くらいで予定の16時となって、あとは追加の1時間の中でのやりとりでした。途中でここまでという場面もありましたが、挙止しておられるのに聞いてくださいと会場から重ねて声があって挙手者全員の質問が叶いました。永井は後から2番目、会場の声に助けられて質問ができました。良かったです。
今回のやり取りでこの事業の正体のようなものが見えてきたように思われます。即ち、都合の良いところだけを前提とした机上の事業計画だということです。
事業終了後(20年後)のことで明確なのは、風車の撤去、また関連の沈砂池、調整池の取り除き。一方で削られた山、作られた道、盛土はそのまま。更地に元の木が生えるのには50年以上かかる。そうなれば山に出た水は何の抵抗もなく谷へどんどん落ちる。誰が管理するかは分からない。こんな事では話にならんなぁということです。
以上、昨日の報告と永井の感想です。約7000字の報告となりました。
22/3/27(日)夕