D139  5/19、自然電力と意見交換会! 7月には設計の叩き台を! 山歩きに凝ってます!    22/5/25(水)

 5月も下旬となりました。日がとても長くなり、朝5時には明るく、夕方6時過ぎてもまだ外で一仕事できます。夏のような暑い日々です。

 6月議会がすぐそこまで来ている中、例によって永井は慌ただしい日々を送っています。前回からの一週間余りの活動報告をしますと言いたいところですが、例によって長くなるので、気になっている風力発電所関係についてとりあえず報告します。

 5/19(木)の夜に「丹後半島の野山を守る会」主催で、自然電力(株)の皆さんとと磯砂山風力発電所事業についての意見交換会があり、永井も参加しました。一般参加者は約15名。自然電力(株)側は5名(いつものメンバーにお一人追加)。

懇談会の様子

 開始18:30、最初に「守る会」より挨拶があり、次に事前に「守る会」より出されていた申し入れ項目への回答があり、その後質疑、意見交換が行われて終了は21:00でした。

会からの申し入れ事項とその回答は、

① 審議会の答申でも、強く指摘されているように「配慮書」に地質・地形が入ってない、今度それを配慮事項に入れ調査していただきたい。

回答 文献上重要なものはないということで、入っていないが、いろいろなご意見を受け、今後検討していきたい。方法書は夏以降になりそうだ。

② 「配慮書」には災害や生活環境と直結する水環境への影響も入っていない。これも調査していただきたい。

回答 工事計画がまだ出せないので「配慮書」には入れていないが、「方法書」には入れる。海への影響等も今後有識者に聞いていきたい。

③ コウノトリ、アベサンショウウオなど希少動植物の調査が不十分である。調査を急ぐべきだ。

回答 これまでも聞き取りをしてきた。現地調査は「方法書」で取り上げたい。重大なら見直しも検討する。

④ 住民説明会で「20年以後の事は分からない」と言われて参加者が憤慨するようなことがあったが、事業終了後の責任の所在はどうされるのか。

回答 撤去、裸地は残さないが原則だ。道路や施設跡は地元との相談していきたい。一応20年が基本だが、可能なら継続して長くやりたい。事後の災害も原因が当社にあれば責任は取る。

⑤ 市のゾーニングが実施される(今年度と来年度)が、立地想定地域が環境保全地域となったら、撤去・縮小するのか。

回答 その内容を確認して検討します。 ※3/26の説明会では永井の同様の質問に「撤去もある」と答えておられます。

 このような回答の後に、この回答も含めて質問、意見交換の時間となりました。参加者との間に様々なやりとりがありましたが、従来の説明会と同じようなやりとりの繰り返しや要するに参加者が危惧の意見を述べるという内容も多くありましたので、そういう部分は省いて永井自身の質問とやりとりを中心に今回明らかになった新しい部分をQ&Aでまとめてみます。

Q 地質・地形で文献では重要なものはない(だから「配慮書」に入れなかった)ということだが、どんな文献によるものなのか? 丹後での災害などの地質地形に関わると思われる文献はたくさんあるが。

A 国のデータをまとめた文献による。京丹後市の文書などは対象にしていない。今後その部分も検討したい。

※という見解があれこれのやりとりの後に出てきた(とても言いにくそうであった)。要するに、特別天然記念物のクラスの特異な地質や地形があるかないかを国レベルのデータでチェックしたらなかったということらしい。住民が最も気にしている過去の災害等については対して関心がないという認識が感じられる。審議会や説明会であれほど繰り返してこの件が指摘されても、未だに「検討」のレベルから出ない。

Q 実際に磯砂の山々を歩いて見た。山頂に続く尾根(風車3基の候補地)など両側が強烈な谷であり、他の尾根尾根も三角にとんがってその上に真砂土そのものが出ている。かろうじて昔からの広葉樹がそれを保持しているという状況だ。このような山をどのように削って一体どこにその土を持っていくつもりか。適切な窪地に土を盛ると言われた(3/27の説明会)がそんなところが実際にあるのか。

A それを今検討中である。業者が調査もしている。検討の結果14基が6基へというようなこともあり得る。

Q どこに道をつけて、どこの尾根をどのように削って、その土をどこにどうするのかという具体的な計画はいつ出てくるのか?

A 7月くらいにはその叩き台になる計画書を出したい。

Q その計画書はそれなりの専門家のチェックを経たもの(お墨付きのあるもの)になるのか?

A とてもそこまではいかない。あくまで叩き台だ。アセスとは別に皆さんに説明してご意見も伺いたい。

Q 熱海の災害ばかり引き合いに出されるが、前回いい加減なことを言われた真砂土の山の広島の災害の件はどうなのか?

A あれは線状降水帯による要するに異常な天候の下の自然災害ということです。

Q 何もなくてもそういうことが起きる。その上に妙なものを作って山を削ろうということではないか(会場から失笑)。だからこそ我々は心配している。

A ・・・・。 ※特に回答なし。

崩壊し放置された林道 磯砂山山腹

Q 丹後はいわば線状降雪帯の地域だ。雪が降って春には山に水がたっぷり溜まりそれが災害にもなってきた(奥大野の土石流は4月に発生)。そういう認識は持っているのか?

Q 雪も降るが最近丹後地域に時間100㎜超えという大変な雨が降って何度も大きな災害が起きている。その想定はしているのか?

A そういうことが起きても風車が倒れたりすることのないような設計を考えています。

Q そういう建造物が倒れなくても大量の土砂や水が出る。そういうことの管理安全は想定されているのか?

A そういうものも含めて・・・。 ※とは言われたが、ほんとうにそうなのかとても怪しい感じであった。 時間100㎜超えなどという雨は、経験者としてはとても抵抗できるものとは思えない。

林道へ落ちてきた土砂 磯砂山山腹

Q 20年後風車は撤去と言うが、幅5mの作業道はどうするのか?

A その後林業などにも活用していただけると考えています。

Q その林業そのものが今や生業とならず衰退してきたのが実態だ。誰が利用するというのか?

A そういうことも可能だと・・。

※磯砂山の中腹などに過去に作られた相当幅の林道が、長年利用されることもなく倒木と土砂崩れで入ることもできず、荒廃して災害の元凶となっている実態を全く認識しておられない。林業の不振衰退は国の政策による構造的な問題でもある。

Q 山の改変などは森林法の基準に従ってと言われるが、森林法は森林開発の条件を定めたもので災害対策の視点は弱い(30年に一度の災害を想定)。一方で水防法という法律は、災害対策が中心で1000年に一度の想定とも聞く。この観点からの検討はされているのか?

A していません。初めてのご指摘です。

A (その場でネットで調べて)直接には今回の事業には関係しないように思われます。

※こちらも詳しくないので「お互いに研究しましょう」と言ったが、本当に関係ないのだろうか。

Q 3/26の説明会で話があった調整池の堰堤の高さ200年、池の広さ100年、水量50年(の災害に耐えうる)設計というものの根拠は?

A 府のリンカツ(と言われたと思う、多分略語)という基準に従ったものだ。実際には現地に即してということになるが、2000㎥から3000㎥くらいのものであろう。

※このリンカツという基準? の研究の必要あり。どういうものか、初めて聞いた。

Q 最近再エネ中心の新電力会社が相次いで倒産している。電力卸価格の高騰(主因はロシアの天然ガス)が原因というが、自然電力は大丈夫か? ※自然電力は卸電力を受けての小売りもやっているし、丹後の磯砂山以外に熊本県天草市での大型風力事業も同時に進めている(こちらはすでに「準備書」段階まで進行)。

A 大丈夫です。そうとしか言えません。

 質疑ということではなく、現在の丹後の状況について何人もの方から指摘があった。

・磯砂山系の谷々が真砂土や花崗岩の岩で埋まって、かつて遊んだ滝壺なども全くその姿がなくなってきている。

・その谷から雨が降ると強烈な水が出てくる。

・山を歩けば杉の大木があちこちで倒木になっている。谷が土砂や石で一杯だ。

峰山町大萱の奥の谷
同じ谷

・国営農地ができてから弥栄は雨が降るたびに水が出て大変困っている。雷が鳴る場所が変わってきたというお年寄りがおられる。

・とにかく暑くなった。雨もよく降る。考えられないような雨の降り方をするようになった。

 以上のようないわゆる意見交換がいろいろあって閉会となりましたが、その閉会の辞で会の副会長さんが、

「3/26の説明会で自然電力に苦情は一件もないということを言われたが、調べてみるとトラブルはいくつもある、不誠実ではないか。これから先もそんなことでは話にならない」という趣旨のことを言われた。永井も同感。

 昨日5/24、市長に対して永井を含む議員3人で、「方法書」に向けて「美しいふるさとづくり審議会」のアドバオイザーに土木工学の専門家も加えたらどうかという申し入れを行いました。ご意見はお聞きしましたということでした。

 この件では、住民の方々からも意見を上げたいという動きがあるようです。是非大きな動きになってほしいと思うものです。

 風力発電事業の候補地とされるところが実際にどのようなところか、自分の目でも見てこなければと思い、このところ時間をやりくりして何度か山歩きをしています。山に入ると古い道はあちこちで崩落し、植林した杉の太いのがあちこちで倒れています。幹が一抱えほどあっても根は横にも下にも1mほどという貧弱なものばかりです。荒れて使われなくなった(使われなくなったから荒れた?)林道も多い。一方で古い広葉樹の森は安定した感じがします。

丹後町力石の愛宕神社跡の尾根 ここも候補地の一つ

 「方法書」の出るまでに何とか候補地全部を歩きたいと思っています。

22/5/25(水)昼

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