D112  風力日置の懇談会、盛況! 審議会現地確認、「こんなところに・・」! 答申案議論、現地との溝は深い! 次へ進めるような状況ではない! 「中止を」!   21/12/23(木)

 昨日は冬至、一日中不安定な天気でした。風力発電所関係でいろいろと動きがありますのでその報告をかいつまんで(それでも長くなりますが)やります。

 12/20(月)の夜に、宮津市日置で風力発電所計画に関わっての議員さんと住民市民の皆さんとの懇談会がありました。上世屋に移り住んで来られた方が呼びかけ人となって実現した会です。永井はその話を聞いた時から(第一風力の方は全く様子が分かっていなかったので)是非行かせてもらおうと思っていたのですが、今の丹後半島全体の風力発電所計画をめぐっての解説をしてほしいとの依頼も受け、荷が重いなと思いながらの参加でした。

 実際の懇談会は、宮津市議会の議員さんが複数の会派から6名出席され、市民・住民の方々が30名くらいは来ておられました。

 始まりの挨拶の後、最初に不肖永井がチャレンジ6号を使ってこの間の丹後半島に大規模風力発電所計画が目白押しという状況の概要と何故そうなのか(事業者はFIT制度での儲けを確保する最後のチャンス)という解説も含めてお話しさせていただきました。

 次に、議員さんの一人から宮津市の状況報告がありました。宮津市では京丹後のように審議会を作ってということは考えず、市長は独自に意見を上げるということらしいです。

 その後は参加者の皆さんからの声が次々と上げられました。皆さんの声に共通するのは、山を壊さないでほしい、川も海も人の暮らしも全部山に繋がっている。菅野から日ヶ谷にかけての大型風力発電所計画(丹後第一風力4300kWを12基)はどう考えてもそういうことを招いてしまう、ということです。この地域の魅力に惹かれて移り住んだ方々も多く、その魅力の元はこの山々なんだという熱い思いがそれぞれの方の多様な言葉からしっかりと伝わってきました。参加された議員さん方も同じ思いを共有されたのではと思います。宇川とはまた違う暖かいものを感じた気がしました。

 宇川から日置までのルートは碇越えの道を使ったので、行きも帰りも鹿の歓迎を何度も受けました。

 一昨日12/21(火)は、丸一日風力発電問題の日となりました。

 午前中は10時から、「美しいふるさと審議会」の第二風力発電所計画現地確認。地元議員として同行させていただきました。

 依遅ケ尾山の登山口に委員さん始め関係者が集合。総勢20数名。バッチリの青空に恵まれて5つのポイントを見て回りました。5つのポイントというのは、①登山口の少し矢畑側の15基の風力発電全体のビューポイント、②峠から少し遠下(おんげ)側に降りた所の風況調査の場所、③そこを宇川の川沿いまで下った遠下のT字路、④災害の多発してきた宇川沿いのツバキボケという場所、⑤風車に一番近い鞍内(くらうち)集落です。

①ではモンタージュ写真を使ってこんな感じになりますということですが、この場所からは9番の風車が一番近く、後は尾根尾根にズラッと並ぶ風車の全体像が分かりました。

②では既に風況調査の機器(長方形の箱という感じ)が設置されていて、調査が始まっていました。高いポールではなくでレーザー光線を上空300mまで飛ばして風の動きを調べているとのことでした。

③は宇川沿いの府道から依遅ケ尾山への市道へ入る場所で直角に交わっており、ここを長さ60mのブレードを乗せた大型トレーラー(幅3m)が右折して通る(3×15で45回)とのこと。角度に無理があるのでこの場所ではブレードを立てて曲がる、上部にあるたくさんの電線は電柱の場所を移したりして取りのけてやるらしい。立てたときのトレラーの安定度はどうなのか、周辺の人家もジャマになるのではなどとても気になる想定でした。

④は下ってきた宇川が直角に山の崖にぶつかる場所で、大雨が降る度に昔から何度も土砂崩れと川の水による穿掘(せんくつ、道路下の土を抉る)で通行不能になってきたところです。ツバキボケのボケは歩危(歩くのにも危ない所)という意味で昔からの住民の苦労がそのまま地名となっています。このすぐ上の尾根に15番の風車ということで、「ここはヤバいわ」という声が何度も聞かれました。

⑤は第二風力に一番近い10数件の集落で、すり鉢状の谷底と法面に位置します。風車の8番や4番が見える場所にあたり、上空をヘリが通ると共鳴してスゴイ音が響く地形となっており、複数の風車の音や低周波が集まるのではないかとの懸念が出されています。この集落の皆さんからはとにかく困るということを聞いています。

委員の皆さんはどの場所でも熱心に説明を聞き、質問もされておられました。永井は母親の里が鞍内で幼少期から何度もこの道を通ってきましたが、特にツバキボケの災害時の強烈さはよく覚えています。

 午後は、市庁舎201会議室での2回目の審議会を傍聴しました。傍聴者が多くなりそうということで当初の205会議室から会場をここに移してということでしたが、20の傍聴席が全部埋まる状況で始まりました。今回の審議会は市長への答申案の素案が出され、ほぼその方向が決まるということで、多くの方が気にかけられて(危惧されて)傍聴者多数ということになったということです。因みに1回目(11/11)は永井を含めて4名ほどでした。

 奥谷会長の挨拶のあと、①市よりアセスメントの流れの説明、②市よりこれまでの住民説明会での主な質問と回答の解説、その補足や追加の質問、③事業者からの改めての回答、④委員会としての答申素案の検討(事業者は退出されて)という全体の流れでした。

 ①では、現在アセスメントの最初の「配慮書」の縦覧(1/17まで)が行われ意見書の受付がなされている。今後、「方法書」→ 調査 →「準備書」→「評価書」という流れ(全体で4年ほど)になりますということ。

②は、主な質問と回答がまとめられた一覧表に沿っての説明でした。事業者からの回答が今後検討して方法書で示しますというものや、各種法令に則って適切にやりますというものが多く、要するに住民の実際の不安に応えるものになっていないということで、宇川の住民代表のお二人からは回答不充分の具体的な声が補足され、アドバイザーの先生方からも住民以外の方々の声を掴んでおられるのかとか水に関わる災害の危険が大だがどうなのかという質問が追加されました。

 それらを受けての③ですが、

 調査不充分は皆さんの言われるとおりで、各調査をこれからしっかりやりたい。災害などへの対応は現状を最大限変えないようにして方法書で詳しく示したい。低周波の調査は事前に機器で調査した上で、建設後のシュミレーションを示したい。20年を終えての事は30年までを検討したいが、最後は裸地(撤去後の更地)に植林して自然に戻す予定である。

 というような説明、回答がありました。

 これに対して、奥谷会長より事業者の前田建設へ、地元の方々との思いに大きな溝を感じます。「経産省の手引」によるパターン化された回答ではなく、地元の方の思いを踏まえ実際に五感を使って感じての調査、評価をしていただきたい、という意見が最後に述べられました。

 一旦休憩の後、いよいよ④の答申案の検討となりました。傍聴側としてはここからが聞き所ということです。

 会長さんからの忌憚のない御意見をドンドン出して下さい、という言葉に応えて多くの意見が委員さんや住民代表から出されました。主なものを列挙すると、

・かつて宇川上流の国営農地開発で出たシルト(細かい泥土)が10年以上も宇川に大きな被害をもたらした(川底の藻などが激減してアユも一気に減った)。今回の山の改変は大量のシルトを宇川に流入させることは必定。従来からの鮎の研究者も大変な危惧をしている。よほど徹底した長期間の宇川の水、鮎の調査が必要だ。

・本市には観光立市の条例もあり観光公社はジオパークを活用した自然を活かした事業も展開してきた。このような環境に大規模な人工物を作ることには疑問を感じる。

・今日現地へ行って、場所を見て地元の人の不安がよく分かった。特にツバキボケの上の15番などは危険と思われる。

・素案の中の「中止も含めて」という文言(素案1-5)は評価する。今日現地を視察して大変だと感じた。答申には危険箇所の具体的な地名なども入れたらどうか。一方で、再エネ促進は国、府の方針でもあり本市の30年後を見据えた議論も必要だ。

・事業者に地元経済への視点が弱い。メリットが見えてこない。地域への価値をもっと前面に出してほしい。

・丹後町の徳光では30年前に樹木を伐採して国営農地を造成したが、雨が少し降っただけで大変な増水をするようになった。同じようにならないかとても心配だ。20年後(事業後)に自然に戻すというが(回答の中に書かれている)、そんなことができるのか。※この意見は②の段階でのもの。  など。

 アドバイザーの先生方3名の意見は、

野間先生(滋賀県立大、生物・生態関係)

・素案の表現が全体にとても優しい。これでは事業者に「しめた」と思われているのでは。

・「配慮書」という制度は、かつてなかったものだが、計画が進めば進むほどやめにくくなる(事業者の投資額が増える)ので早めに進退の判断をするために作られた経過がある。判断は速いほど地元にも事業者にもどちらにもベターだ。「中止も含めて」の1-5があるが、もっと強く出した方がよい。

・この案では実質的に「作ってもよい」という内容に取れるので、懸念をもっと強く出し、中止を求めるものにすべきだ。

・太鼓山のアセスでは前のところに建てるのはいいが拡大はよくないという結論だった。

・その上で具体的に、配慮書に水環境についての調査が入れられていない。宇川にとってこれは重大だ。計画の詳細が今分からないからという入れない理由も書かれているが、これを認めると方法書にも出てこないことになりかねない。水関係の調査は不可欠だ。

・クマタカの2年間以上の調査が必要、渡り鳥のコースも必要な調査。ブナ林などの原生林だけでなく、2次林、里山などの生態系調査も最近は重要。林の伐採は山の中に風が入ることになり影響が大きい事も明記すべき。

三好先生(京都府立大、地形・地質関係)

・素案は実施に向けての論調となっている。中止を含めた選択を強調すべきだ。

・切り土、盛り土の規模が大きく、もろい土質で土砂災害の危険が極めて高い。再エネはよいが、場所による。撤退もありだ。

・判断の先延ばし、今後の調査ではなく前倒しでやる姿勢が大切だ。マイナス面も書き込んだ答申を。

・宇川上流ではかつて大規模開発で大きな被害があった。土砂、泥の流出は避けられず、山は一度裸地化する(木を切って土面が晒される)と止まらない。

深町先生(京都大大学院、景観関係など)

・次の段階へ行けるような状況ではない。回答も極めて不充分、多様な声へのアプローチもない。事業者は一部の者だけが反対していると思っているようだが、それは問題。住民の理解という大前提がまだまだクリアできてない。

・(この事業が)再エネとして持続可能なのか、立地として丹後半島に適するのか、丹後に一番適した再エネのあり方を一から考える必要があると思う。

・丹後半島の山間部には古くからの宝が多く眠っている、それらをしっかり把握して守っていかねばならないという項目も必要。

これらの意見を踏まえて最後に奥谷会長より

・答申案を全面的に書き換えたい(お正月返上で・・)。皆さんの御意見を踏まえると、「重大な環境影響を回避する」ことは難しい。懸念、不安がたくさんある。

・中止を含め事業の見直しを強く求める、というのを一番に書いて、その理由を列挙するというような形を考えたい。その方向で行きますがよろしいですか。先延ばしするのでなくはっきりさせた方がよいと思います。 ※皆さん頷く。

 というような事で散会となりました。今後、地元の研究者などの意見も聞いたりして最終答申案が作られ来年1/11の3回目で決定されるという流れになります。以上長くなりましたが、第2回審議会の永井による概要報告です。

 意外と言えば大変に失礼ですが、劇的な審議内容だったなぁというのが永井の正直な感想です。傍聴席にはそういう感動の塊があったように思います。最後の会長さんの言葉には拍手をしかけました。   ※取り敢えず文章だけの報告です。

21/12/23(木)午前

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