D103 前田建設工業への質問と回答です!   21/11/19(金)

前回からまた日が経ってきました。風力発電所関係、学校適正配置関係どちらも報告すべき事柄が溜まっているのですが、12月議会も迫って中々報告が上げられません。取り敢えず、風力関係で前田建設へ「丹後の風力発電を考える会」から出されていた公開質問状への回答が来たということで、会の了承を得て紹介をさせてもらいます。

質問状と回答を両方ともまとめて編集し直したもので、相当な分量となっています。

2021(令和3)年10月28日

前田建設工業株式会社 代表者 様

丹後の風力発電を考える会 

御社が丹後地域で検討されている風力発電事業について(公開質問状)

 謹啓 

御社は現在丹後地域で二ヶ所の大規模な風力発電所を計画されています。7月と8月にそれぞれの地元地域で関係者への説明会を持たれたと聞いております。しかし、私たち一般住民にはその計画の概要も詳細も知らされていません。合計27基、11万㎾という大規模な風力発電所を丹後半島の中心部のいくつもの尾根に建設するという事業は、その環境に及ぼす影響、生活や社会にもたらす影響・不安、引いては丹後地域の未来に関わる重大な問題であると考えます。その計画が住民のよく分からない間に進められるということはよくありません。

私たちはこの風力発電所計画について多くの疑問や不安を持っています。この度、それをまとめて御社へ質問をさせていただきます。

下記の諸項目について真摯なるご回答をいただきたく、ここに文書でお願い申し上げる次第です。

本年11月12日(金)期限で、文書による回答を求めます。

 なお、この質問状、及び御社からの回答については、報道機関等へ情報提供することもあります。    敬具                                   

以上、質問状の前文と末尾。

2021年11月8日

丹後の風力発電を考える会 様

前田建設工業株式会社

経営革新本部 再生可能エネルギー部

弊社が丹後地域で検討している風力発電事業に係る

公開質問状への回答について

拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、この度頂戴しましたご質問状につきまして、下記の通りご回答いたします。ご査収のほどよろしくお願いいたします。       敬具

以上、回答の前文。

ここから、各質問項目とそれぞれへの回答

Ⅰ 御社の基本的姿勢について

1 この度の御社の風力発電所計画は、再生可能エネルギーの推進を図り、地球温暖化対策、地域貢献、地域活性化に寄与することを目的とされていますが、国のFIT制度を利用した20年限定の事業であり、丹後地域の自然を大きく改変する内容となっています。この事業が「持続可能な地域づくり」に直接に繋がるものであると考えておられますか。

回答1 本事業は、固定価格買取制度(FIT制度)を用いての事業実施を想定しており、事業期間を20年間として計画作成することが義務付けられています。よって、本事業の事業期間は20年としております。一方で、風車等機器の耐用年数は、20年以上あることから延長する可能性もあり得ると考えており、積極的に延長に向けた検討を考えたいと思慮しております。また、本事業は大型の投資を伴う事業であり、事業を通じて雇用創出、地域貢献が図れ、これによって「持続可能な地域づくり」に繋がるものと考えております。

Ⅱ 発電事業に関して

2 御社が計画されている丹後第一風力発電所、丹後第二風力発電所の発電事業の総事業費はいくらですか。また、年間収益は概算でどれだけを見込んでおられますか。第一風力、第二風力それぞれにお答え下さい。

回答2 総事業費は(第一)約145億円、(第二)約180億円、年間収益は、(第一)約13億円、(第二)約20億円を現時点で想定しております。ただし、今後の調査・設計によって最終的な事業計画を決定します。

3 その根拠として、年間どの程度の風量(どの方向の風、どの強さの風が、年間を通じ何時間)があることが想定されていますか。第一風力、第二風力それぞれにお答え下さい。

回答3 環境省が公表している事業区域近傍ポイントでの風況マップでは、地上高80mにおける20年間の平均風速が(第一)7.9m/s、(第二)7.0m/s、最頻風向が(第一)南南西、(第二)南の想定になっております。

4 風車用敷地及び作業道路など発電所に関連する土地は地権者とのどのような契約で取得される予定ですか。その契約形態(売買、賃借、地上権設定など)と契約期間をお答え下さい。

回答4 賃借または地上権設定にての契約を想定しております。契約期間は、運営期間の20年に加え、建設、撤去期間を想定しております。

5 第一風力12基、第二風力15基の風車の詳細な建設場所は、それぞれどこを予定しておられますか。また、建設予定場所の現況はどうなっていますか。

回答5 詳細な建設場所については、今後の調査結果を踏まえ検討いたします。現況は山林です。

6 御社が建設を予定されている地域は、過去に地崩れ等が頻繁に起きている地域ですが、そのことについてはどのように考えておられますか。

回答6 過去の災害については、地元等から情報を頂いております。今後環境アセスや許認可手続きの中で、詳細な事業区域や対応方法を検討いたします。

7 丹後半島では過去に京都府が太鼓山ウィンドファームを建設し失敗をした(原因は落雷や事故等)という経験がありますが、同様の失敗を繰り返さないことを保証できる根拠がありますか。

回答7 太鼓山の事故事例については、経済産業省の委員会等を通じて把握しております。風車の性能は、太鼓山の建設当時より向上しております。また、この事業は、国の設計審査を経てはじめて着工できるものであり、太鼓山の事故事例を踏まえ、審査されるものと認識しております。

8 事業期間は20年間とのことですが、その理由は何ですか。延長もあり得ますか。

回答8 本事業は、固定価格買取制度(FIT制度)を用いての事業実施を想定しており、事業期間を20年間として計画作成することが義務付けられています。よって、本事業の事業期間は20年としております。一方で、風車等機器の耐用年数は、20年以上あることから延長する可能性もあり得ると考えており、積極的に延長に向けた検討を考えたいと思慮しております。

9 事業の終了後、風車は撤去され更地に戻すと聞きますが、その費用はいくらを予定していますか。その費用はどのようにして準備されますか。

回答9 FIT制度上において撤去費用は運営期間中に積立を義務付けられており、資本費の5%である(第一)約7億円、(第二)約9億円を想定しております。

10 撤去した風車は、その後どのように処理されますか。切断して埋設するとも聞きますが、そうされた場合土壌汚染などが発生すれば補償の準備がありますか。

回答10 関係法令に則り、適切に事業地から搬出をし、その後処分またはリサイクルを想定しております。

11 更地に戻すときに風車の基壇と打ち込んだ杭等も同様に撤去されますか。

回答11 撤去を想定しております。

12 風車撤去後の跡地、及び設置のために整備された作業道(建設用道路)は、事業終了後どうされますか。その土地の所有権はどのようになっていきますか。

回答12 基本的には、植林して山林に戻すことを原則と考えていますが、作業道や風車ヤードは山林管理に有用なため、将来の取り扱いについては、地権者や行政・関係機関と協議の上検討してまいります。

13 風車設置準備中、及び20年の事業期間中に御社が事業に行き詰った場合や倒産された場合、風車やその関連施設はどうなりますか。

回答13 本事業は、銀行からの融資を受けての事業実施を想定しております。万が一不測の事態に陥った場合は、原則として銀行が代わりの事業者を選定し事業を継続します。

14 この事業で発電される電気は地元の自治体内で使用されますか。

回答14 現時点は関西電力への売電を予定しており、関西電力の送配電を通じて他電源の電気と共に地元自治体内へも供給されます。また、地元での積極的な利用については、関連制度を踏まえ今後検討してまいります。

15 この発電事業による地元地域への利益還元はありますか。あるとすれば収益の何%ですか。

回答15 地域貢献については、地元のニーズもお聞きしながら、金銭的な協力も含め今後検討してまいります。

16 15以外にこの発電事業による地元自治体のメリットはありますが、あれば具体的に答えてください。

回答16 固定資産税の税収が増加します。また、各種調査、建設工事、メンテナンス業務を通じて地元企業を積極的に活用させて頂きます。

17 この発電事業による地元地域や地元自治体のデメリットはありますか。あれば具体的に答えてください。

回答17 建設工事中に大型車両等が一時的に増加しますが、時間帯やルートなど、十分に配慮して工事を進めます。

18 この発電事業について、事前に広く住民(市民、町民)に対し説明会を行い疑問等に答える用意はありますか。

回答18 まずは事業地周辺の皆様に事前説明をさせて頂いている段階になります。今後環境影響評価の手続き各段階において、住民の皆様を対象とした説明会を行う予定です。

Ⅲ 発電設備の建設工事等について

19 発電に使用される風車の1枚の羽(ブレード)の全長、羽を取り付ける柱の全長、完成時における基壇からの最高長はそれぞれいくらですか。

回答19 今後の調査を踏まえて使用する風車の使用は決めていきますが、最大でブレードは約50m~約67m、タワーは約72.5m~約120m、最高長で約124m~約180mを想定しております。

20 予定されている風車(4000㎾級)1基の価格はいくらですか。

回答20 風車のメーカーや仕様によって変りますが、概ね4億~5億円です。

21 風車の部材や機材等の搬入、建設工事全般に際しての国道・府道等の経路(ルート)は、どのように計画していますか。その使用する道路の周辺住民への影響はどのように考えておられますか。

回答21 詳細は検討中になりますが、風車部材及び主要な建設機材等については、舞鶴港より国道175号、176号、178号などを経由して事業区域までのアクセスを検討しております。

22 国・府道等から建設場所まで搬入や工事のための新たな道路が必要ですが、その経路、幅員、延長等はどのように計画していますか。

回答22 新設道路の設置位置につきましては現在検討中です。一般的な道路幅員は約5m程度となります。

23 風車の機材や部材は、どのような手段で運搬されますか。

回答23 詳細は検討中になりますが、風車部材は舞鶴港より陸送(トレーラー、大型トラック等)にて運搬を想定しております。

24 1基の風車の基壇の大きさは縦、横、深さ、それぞれいくらになると見込んでいますか。また、1基当たりの必要工事面積、及び掘削深度(打ち込む杭の深さ)はいくらになりますか。

回答24 今後の調査・設計によって基礎の大きさ、杭の深さが決まります。一般的な基礎の大きさは約17~20m×約17~20mの八角形形状です。一般的な必要工事面積は約50m×約60m程度となります。

25 作業道路及び風車設置のために山を開削することになりますが、その開削工事によって出る土砂の量は第一風力、第二風力それぞれにどれだけを見込んでいますか。

回答25 今後の調査・設計によって掘削計画及び土量が決まります。

26 開削によって出る土砂は、どこへどのような手段で運び出し、最終的にどのように処理されますか。

回答26 基本的には事業区域内で切土量・盛土量のバランスを取る計画としますので、場外への土砂搬出はないことを想定しております。

27 作業道路及び風車設置のために大量の樹木を伐採しなければなりませんが、その量はどれくらいを予定していますか。そのことによるCO2の増加量はどの程度と予想されていますか。

回答27 本事業によって消失する森林の二酸化炭素の吸収量は、今後の工事の計画熟度が高まった段階で算出しまいります。併せて、既存系統電力の代替に伴う本事業の二酸化炭素の削減量を算出し、本事業による二酸化炭素の削減効果も今後検討してまいります。

28 第二風力を予定する山地は、依遅ケ尾山系を含み古代より地元では「聖なる山」とされてきた地域ですが、このことをどのように考えておられますか。

回答28 (景観の観点から)依遅ケ尾山山頂から風車が建った際に、どのように景観が変わるかを合成写真を作成し予測して参ります。合成写真は環境調査完了後の準備書の住民説明会において、お示ししする予定です。

29 長期にわたる建設作業に伴って、使用道路の周辺住民には大きな迷惑が予想されます(道路が狭く人家が道に隣接)が、その対策はどのように考えておられますか。また具体的な被害が出た場合、補償についてはどのように対処されますか。

回答29 今後通行時間帯やルートについて、周辺住民の皆様と協議しながら検討を進めてまいります。具体的な被害が発生し、本事業との因果関係が確認できた場合には、必要な対応を講じてまいります。

30 建設作業に伴って、土石流等の土砂災害などの災害防止はどのように行いますか。

回答30 工事にあたり、林地開発等、行政機関の許認可を得る必要があります。許認可手続きの中で災害防止対策は検討してまいります。

31 万が一、この建設作業によって災害等が発生した場合、補償等についてはどのように対処されますか。

回答31 万が一建設作業によって災害等が発生し、本事業との因果関係が確認できた場合には、必要な対応を講じてまいります。

32 この建設作業によって農産物、海産物、観光業などに被害が出た場合、補償等についてはどのように対処されますか。

回答32 環境影響評価の「景観」や「人と自然とのふれあいの活動の場」などの調査において、観光客や地元の方の利用状況や主要な眺望方向などを十分に把握し、現地の観光に配慮できるよう風車配置や工事計画など検討してまいります。

(農産物、海産物含め)万が一被害が発生し、本事業との因果関係が確認できた場合には、必要な対応を講じてまいります。

Ⅳ 発電事業の周辺への影響について

33 建設される風車と近隣の住民居住地域との距離はどれだけありますか。風車から一番近い住居は第一風力、第二風力それぞれにどこにあり、距離はいくらですか。

回答33 環境影響評価配慮書において第一及び第二風力事業共に、住居から風力発電機の設置予定範囲までの最短離隔は約0.5kmの記載となっておりますが、現在想定している風車配置と住居までの離隔は第一及び第二風力事業共に約1km程度離隔できるように計画しております。

34 風力発電事業にともなう騒音、低周波、振動、シャドーフリッカー等の被害についてはどのように考えていますか。事前事後に詳細な調査をやって、その結果を公開される用意はありますか。

回答34 本事業は環境影響評価法に則り、風車の稼働に伴う騒音・低周波音、工事の実施に伴う振動・風車の影等の環境要素について調査・予測・評価し、その結果を、手続きに則り公開してまいります。

35 事前事後に周辺住民への聴き取り調査を行い、その相談に応じる用意がありますか。

回答35 環境影響評価図書の縦覧中に住民の皆様からの意見を募集させて頂きます。意見に対する事業者の見解は、図書として公開させて頂きます。併せて、住民説明会を開催させて頂き、その際にご意見をお聞かせ頂いております。

36 風力発電事業にともなう騒音、低周波、振動等で住民の健康被害などが起こった場合、補償される用意がありますか。

回答36 騒音・低周波音の調査・予測の際に健康被害が生じないよう環境省の騒音指針に則り、風車の配置や機種を検討してまいります。万が一被害等が発生し、本事業との因果関係が確認できた場合には、必要な対応を講じてまいります。

37 丹後半島は鳥類の生息飛来の多い地域ですが、その実態の把握とバードストライク等への対策はどのように考えておられますか。

回答37 現段階では、既存文献による情報を収集し整理を実施した環境影響配慮書を作成段階です。実際の現地の状況を把握するため、鳥類調査を実施いたします。その内容に応じて、専門家の意見も踏まえつつ対策等を検討してまいります。

38 風力発電の影響で猪や鹿などの農地などへの獣害が増えるということを聞きます。このことへの事前の対策はどう考えていますか。またその被害への補償をされる用意がありますか。

回答38 ご指摘のような影響が生じたという実態調査の報告は現時点ではないものの、野生生物のことであり、慎重に既存施設の周辺地域における状況についても情報を収集していきたいと考えております。万が一被害が発生し、本事業との因果関係が確認できた場合には、必要な対応を講じてまいります。

39 丹後半島の山地は国定公園に指定され、ツキノワグマやクマタカなど稀少な動物が生息しています。そのことをどのように考えておられますか。

回答39 現段階では、既存文献による情報を収集し整理を実施した環境影響配慮書作成段階です。今後、鳥類や哺乳類調査を実施し、現地の生息や利用状況の観察を行ってまいります。

40 発電事業終了後、その跡地で法面崩壊や土砂流出などが起こった場合、復旧などの補償をする準備はありますか。

回答40 工事にあたっては、林地開発等の行政機関の許認可を得る必要があります。許認可手続きの中で災害防止対策は検討されます。万が一被害が発生し、本事業との因果関係が確認できた場合には、必要な対応を講じてまいります。

41 発電事業終了後、改変された景観をもとに戻す計画はありますか。

回答41 基本的には、植林して山林に戻すことを原則と考えておりますが、作業道や風車ヤードは山林管理に有用なため、将来の取り扱いについては、地権者や行政・関係機関と協議の上検討してまいります。

 以上が質問状と回答の全部です。

回答にはいろいろと突っ込みたい所や解説したい所がありますが、それはまた後日にしてとりあえす質問と回答だけを紹介します。

21/11/19(金)

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