D71  宇川に巨大風力発電所建設!!    21/7/13(火)

 喫緊の大問題であるのに、まだ全く報告していない件を今回は上げます。見出しの通り今宇川に起きている「巨大風力発電所」建設の問題です。

 丹後町に依遅ケ尾山(イチガオサン)という有名な山があります。その山に連なる南側の尾根からかつて力石という集落があった地域の広い山地の尾根になんと15基もの巨大風車を設置して出力約6万キロワットの風力発電所を作ろうという話が今起きているのです。このゾーンは、丹後町の豊栄地域の山間部と宇川地域の西半分にあたる上宇川地域に広がる場所で、河川としての宇川に注ぐ谷を何本も抱えています。

 「丹後半島第二風力発電所」というのがその仮の名称で、東京に本社を置く「前田建設工業」という大手の建設会社の計画する事業で、伊根町菅野と宮津市日ヶ谷という地域の山地に計画する「丹後半島第一風力発電所」と合わせてざっと300億円の事業ということです。第1(日ヶ谷)が12基、第2(上宇川)が15基、合計出力約11万キロワットを予定とのこと。

赤の四角が宇川地区の予定地。
事業は20年間だけ。

 6/5(土)に上宇川連合区長会で事業者(前田建設)が説明をするということで永井も参加させていただきました。設置予定の風車はタワー(支柱)の高さ約120m、ブレード(羽根)の直径130m、全体の高さは約180mという巨大なモノ、かつてスイス村にあったものより遙かに大きなものになります。そんなのが宇川の中流の山地に15基並ぶ。

 工事のために山の尾根の森林を伐採し山を削って幅5mの道路を作り、生コン車や機材、資材の搬入車は宇川に沿っての現在の生活道路を通りその道へ入っていく。当然ながらこの風車を支える基壇が必要で、尾根筋に広場を作りそこに50m×60mくらい(厚さは不明)のコンクリートを打つ。この工事が2年ほど、生コン車は毎日150台必要ということらしい。

 これだけの投資をして商売は成り立つのか? と聞くと、発電した電気を(十分儲けの出る)高い値段で買い取る国のFIT(固定価格買い取り制度)というのがあって、その認定を受けて20年間の期限でやる(20年間しかやらない)事業で十分成り立つということ。FITの原資は自然エネルギー普及のためということで現在私たちの電気料金に上乗せされているものです。

 参加された上宇川の区長さん方からは、不安と戸惑いの声が相次ぎました。とにかく宇川の中流域は大雨や台風などでこれまで何度も大変な被害にあってきました。自然の状態でさえ何度も山からの土砂で酷い目にあっているのに、その山の木を大量に切り、土を大量に削って谷や川がどうなるかは火を見るよりも明らかだ(この説明会のあとに例の熱海の土石流事故が発生)。宇川のアユへの影響は甚大だ。狭い生活道路が長期間工事車両に占領される。川が汚れれば河口の海水浴場にも被害が出る。とにかく大変なことだ。という話のオンパレード。

 説明者の方は、そういう問題点も含めて環境調査(アセスメント)をしっかりやって、皆さんのご理解を得て事業を実現したいとのこと。8月には事業の内容や調査項目などを示す「配慮書」と言われるものを作り、9/24までには地権者の協力同意書を揃えて国の認定を申し込み、スケジュールに沿ってやりたい。計画通りなら2025年から工事開始、2027年には商業運転開始ということになる。

 この説明会に同席した市の担当部局職員は、民間と民間のお話というのが基本だが状況を見ながら住民の意見も聞き市としても意見を言っていきたい。というような感じでした。

これが15基の配置。右上の白い所が上宇川地域。
事業所の調査は既に始まっています。

 上宇川連合区では、この事業は住民の生命・財産に関わる重大な問題であると6/21市議会へ積極的に審議して欲しいという要望書を出す一方、事が大き過ぎて地域だけの判断では事業に協力できない、市のこの事業についての基本的な方向が出されないと動けないと事業者と市の担当部局へ文書を出されました。

 議会への要望書は現在のところ、議長へは通っていますが、議員全体への周知はなされていません。6/24の一般質問で共産党の平林議員がこの件を取り上げて、ようやく皆の知るところとなりました。創明は昨日(7/12)に議長にこの件での議会での詳しい情報の共有と「美しいふるさとづくり条例」に基づいて審議会での審査を市長に求めることを要望しました。上宇川連合区は現在市長への要望書を検討しているとのことです。

 ゼロカーボンシティの実現に向け、再生可能エネルギーの利用促進と持続可能な地域づくりは市の基本政策となっており、その中で太陽光発電と風力発電の拡大は施策の中心に位置づけられています。しかしながら、太陽光発電や風力発電が本当に環境に優しくて持続可能な地域作りに繋がるのかは、実態に即してよほどよく吟味しなければなりません。

 20年の事業を終えた風力発電所はどうなるのか、全国では放置されたりそのまま地権者に返されたりという例が起きています(スイス村は落雷で動かなくなって事業は大失敗、何年も放置)。一度削った山は仮に風車を撤去しても、元には戻りません。「持続可能」からはおよそ遠いと言わねばなりません。ましてや先日の熱海のような災害でも起きれば住民は生活もできません。

 住民や市が、事情のよく分からないままに、事業者の日程に合わせて事を進めるのはとても危険です。住民、市、議会ともに今とても重要な所に立っています。

21/7/13(火)朝

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