D150 研修の報告① です!    22/8/6(土)

 京丹後市議会の議員には一人あたり年間18万円の政務活動費というのが制度化されています。数年前にいろいろと議論があって今の形に整備されたものですが、事前の計画書を提出し、事後に報告書と経費の詳細(領収書添付)を提出して、審査の後必要経費のみが支出されるという制度です。会派の活動というのも基本です。

 議員になって以来、永井は自分の意思でこれを活用したことがありませんでした。市内でやるべきことや調べることが山のようにあるのに、遠いところまで行くなどおこがましい話だと思っていたためです。

 3年目になって、外にも目を向けいろいろ勉強しなければ議員として不十分ではないかと思うようにもなっていたところへ、1件はあなたの話も聞かせて欲しい(ある分野に関わって)というお誘いがあり、1件は是非ここに行って話を聞いてこようという会派内部からの強い声がありということでこの夏2件の研修・研究を企画しました。

 前者は、川崎市で8/23~8/24に開催された第18回全国地方議員交流研修会。後者は、島根県益田市にある、持続可能な地域社会総合研究所で7/28~7/29に企画しました。

川崎市での研修会はどの内容もとても刺激的でした。今回はこの研修会での2つの講演を紹介します。

1,「ウクライナ戦争と東アジアの平和」と題した青山学院大学の羽場久美子名誉教授の講演

・ウクライナ戦争は即時停戦が当然に必要だが、この戦争はロシアの侵攻以前からその危険が十二分に予想されていたのに、アメリカは中に入って仲裁に乗り出すのでなくロシアを刺激することばかりやった結果起こった。

・ウクライナには2014年より東南部で内戦状態があり、それが意図的に放置されそれが火種となった。

・スラブ人同士の国が戦うこと(戦わせること)でアメリカはこの戦争で様々な利益を得ている。政治的、経済的に欧米を結束させてロシアの国力低下を決定的とし、軍事的にはアメリカの武器を売って大儲けをしている。

・アメリカはこれと同様なことをアジアで考えている。即ち対中国戦略がそれで、台湾がその前線にされる可能性がある。そうなれば対米従属しかない今の日本政府の下では自衛隊が米軍の為に戦わされて戦禍が西南諸島始め日本国内に及ぶのは必定だ。

・2010年に日本のGDPを抜いた中国は2030年にはアメリカのGDPを抜くのも確実で、すぐに人口が最大となる(14億3000万人)インドも2030年代の後半にはアメリカを抜いてアジアの大国がNo1、No2を占め世界経済を仕切ることになるのは時間の問題。

・そこでアメリカはQUAD(クワッド、日米豪印4カ国戦略対話)、AUKUS(オーカス、米英豪軍事情報同盟)をつくって対中国封じ込め戦略に躍起となっている。

・このような中でこれからも日本はアメリカの言いなりで良いのだろうか。

・経済的に見れば今(2021)の日本の貿易は対中国が23%、それに比して対米は14%に過ぎない。対ASEANは15%でアメリカよりも多い。

・アメリカとの関係はとても重要だが、それは主従の関係ではなく対等の関係であるべきだし(日米地位協定は×)、大きく成長していく中国を中心とする近隣のアジア地域との共生こそが日本の未来を明るくする唯一の道である。

・様々な歴史を持ち東アジアの中心に位置する沖縄を舞台にして東アジアの平和のハブを作ろう。

 この後、全国の米軍基地を抱える自治体の議員さんの報告発言があり(要するに各地で自衛隊も含めて活動が拡大活発化している)、その中の一人として永井は経ヶ岬の現状を報告させてもらいました。

★8/3のアメリカのペロシ下院議長の台湾訪問と中国の台湾包囲の緊急軍事演習は青山先生の指摘通りのことがそのまま起きている。日本が危ない。

2,「日本農業と食料を守るために」と題して東京大学大学院の鈴木宣弘教授の講演。

・今日本は食糧危機が迫っているのではなく、既にもう食料危機が来ている。

・コロナ禍、中国の農産物爆買い、異常気象、そこにウクライナ戦争の4つ(これをクワトロショックと呼ぶらしい)が重なって、穀物価格、原油価格、化学肥料の原料価格が高騰しこれらが日本の農業に襲いかかっている。

・ロシアとウクライナの小麦輸出は世界の30%だがこれが戦争で止まった。日本はアメリカ、カナダ、オーストラリアから買っているが、その影響で価格高騰するだけでなく、他国へ回されて十分な量の確保は難しくなってきた。

・化学肥料の原料のリン、カリウムの100%、尿素の96%を輸入に依存している日本は

ロシア、ベラルーシの輸出停止と中国の輸出制限で来年の国内農家への肥料供給の見通しが立たない状況となっている。

・政府は安全保障ということをやたらに口にするが、それは防衛や経済かかわる事ばかりで、食料安全保障や食料自給率に関しては言わない。

・今日本の食糧自給率は37%だが、これは先進国で最低。食料を自給できなくてどうやって国民の命を守ることができるのか。これで独立国と言えるのか。

・品目ごとに見ると例えば野菜は80%の自給という数字だが、種は90%を輸入している。この種が入ってこなくなったら自給率はたったの8%になってしまう。また鶏の卵の国産率は96%と頑張っているように見えるが、その餌のトウモロコシの100%が輸入、鶏の雛はほぼ100%が輸入です。これが入ってこなくなれば自給率0ということになる。乳製品59%、牛肉43%というのもその飼料は圧倒的に輸入頼み。37%ですらその土台がいかに脆いかということだ。

・唯一自給率が100%を超える米だが、1993年のウルグアイラウンド以来米価は暴落に次ぐ暴落でかつて一俵2万円くらいであったのが今や一俵9000円~7000円にまで下がった。生産コストはどう頑張っても平均で1万5000円かかるという中でどうやって生活するのか、やめるしかない。実際に全国で耕作放棄地が急激に広がっています。

・であるのに、政策はどうなっているのか、余っているのだから耕作を減らせということです。米作りはやめろということだ。

・余っている米は政府が買い上げて人道支援に回すこともできるのだが、それをするとアメリカの市場を荒らすことになると全く口にも出さない。コロナ禍の中で、他の国は政府が余った農産物を大量に買い上げて人道支援に回しているというのにこの状況だ。

・その一方で余っているくせにミニマムアクセスということで義務だと言って77万トンもアメリカから輸入している。そんなに真面目に目標の数字を守っている国は他にはない。

・そのアメリカでもヨーロッパでも農業は国によってしっかりと保護されている。価格が一定の数字より下がるとその分が補填される制度と国土保全の観点から農地そのものに一定額の補助金が支払われるという制度で農民が収入に困ると言うことはないのです。農民は言うなれば農業公務員のようなものです。日本の農業者が過保護であるということが言われたりしますが、トンデモナイ話です。

・日本の食料自給率が下がったのには明らかな原因があります。戦後アメリカがアメリカ国内に余った農産物を日本に売りつけるために占領政策を利用して質の悪い小麦や乳製品を大量に日本に持ち込んだことから始まります。学校給食の食パンと脱脂粉乳がその典型です(永井も食べて育ちました)。おまけに、「米を食うと馬鹿になる」とか「米を食べていたから戦争に負けたんだ」などというフェイク情報を流して(当時の新聞や有名大学の教授の本など)国民の意識を洗脳していった。その後も貿易の自由化という口実でどんどんアメリカの農産物を買わされて自給率は低下していった。

・もう一つの原因は国内にあって、要するに経済産業省が日本の自動車を売るために「農業を「売った」。アメリカへ自動車を売り込むために様々な貿易規制を撤廃して、安価な農業製品が日本へ流れ込んできた。

・種子法の廃止、種苗法の改正などで種を外国の商社から買わなければならないというような法律まで作ってしまった。

・日本の農業政策はアメリカと農業大資本に奉仕するようにいつの間にか作り替えられてしまっているということです。

・政府やマスコミのいい加減な情報に騙されず、このようなことをしっかり認識して自分の国は自分の国の食料で守るということからの発想と具体的な行動が必要です。

・有機農業、みどりの食糧システム、生産者と消費者の支え合い、無理をしない農業など新しい動きが今あちこちで出てきています。

・武器を買うことではなく農業への支出こそがこの国を救うことになるのです。

年寄り議員は命をかけろ、とのこと。

★そうではないかと思っていたことが、やっぱりそうであったのかと再認識させられた講演でした。

 この交流研修会には北海道から沖縄まで70名ほどの地方議員さんが参加しておられました。いわゆる政権与党ではない勢力に属する方々が中心でしたが、20名ほどは道府県議会議員さん、50名ほどが市議会議員さんということで京丹後市議会では特定の方々しか言われないことが様々な立場、党派の方々から議論されてある意味感動しました。永井が議員になった(なれた)背景には宇川地域の米軍基地問題がありますが、今の極めて焦臭い国際情勢、国内情勢の中で改めてそのことの意味を考える時間にもなりました。黙っていてはいけないということです。

長くなりましたが、研修1の報告をまずはここまでとします。

遅くなりましたが、研修後資料の読み直しなどをしてやっと書けました。

22/8/6(土)夕

永井友昭チャレンジダイアリーをフォローする!

ご寄付(カンパ)をお願いいたします

永井友昭が代表を務める政治団体「京丹後宇川の風」へのご寄付をお願いいたします。京丹後市外に在住の方でもご寄付を受け付けておりますので、何卒ご支援のほどお願いいたします。